帝国データバンクは3月19日、全国の企業を対象に実施した「価格転嫁に関する実態調査(2026年2月)」の結果を発表した。コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度反映できたかを示す「価格転嫁率」は42・1パーセントとなり、前回調査(2025年7月)の39・4パーセントから2・7ポイント上昇。およそ1年ぶりに4割台を回復したことが明らかになった。
調査は2026年2月13日から28日にかけてインターネットで実施され、全国の企業1万416社から有効回答を得た。自社の商品・サービスにおいて「多少なりとも価格転嫁できている」と回答した企業は76・9パーセントに達した一方で、「全く価格転嫁できない」とする企業も10・9パーセント存在しており、依然として1割を上回る状況が続いている。これはコストが100円上昇した場合に、実際には42・1円しか価格に反映できておらず、残りの約6割を企業が負担している実態を示している。
業種別では格差が顕著で、商流の川上に位置する「化学品卸売」(62・1パーセント)や「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(57・7パーセント)など、卸売業を中心に転嫁率が5割を超えた。一方で、消費者に近い「飲食店」は32・8パーセント、「旅館・ホテル」は28・2パーセントにとどまり、消費者の節約志向や競合状況から値上げが困難な実態が浮き彫りとなった。特に病院などを含む「医療・福祉・保健衛生」は14・7パーセントと極めて低い水準にとどまっている。
企業規模別の分析では、仕入れ価格が「上がった」とする企業が71・5パーセントに上るのに対し、販売価格を「上げた」企業は45・8パーセントに留まり、その差は20ポイント以上に達している。特に小規模企業は価格交渉の実施割合が低く、仕入れ先との交渉は42・9パーセント、販売先との交渉は48・0パーセントと、いずれも4割台にとどまった。同社は、企業単独の努力には限界があるとして、適切な価格交渉を促す取引慣行の見直しや、政府による小規模企業への交渉支援強化が必要であると指摘している。



