Category: 塾ニュース|サイエンス

大阪公立大学研究推進機構協創研究センター 宇宙科学技術研究センターと連携協定を締結

 科学を通じた人間教育を行っている一般社団法人e-kagaku国際科学教育協会(京都市、北原 達正 代表理事)と、大阪公立大学研究推進機構協創研究センター宇宙科学技術研究センター(大阪府、小木 曽望 センター長)及び株式会社サイエンス・ラボは、2023年6月24日に超小型人工衛星の設計開発活動等を目的とした連携協定を締結した。
<連携協力協定の内容>
(1)小型宇宙機システム研究センターとの連携活動に関すること
(2)超小型人工衛星の設計開発活動に関すること
(3)各機関の構成員の相互交流・研修に関すること
(4)各機関の有する研究施設・設備の相互利用

 またこの協定に関する取り組みとして、7月14日にはe-kagakuが制作した超小型人工衛星”e-kagakuジュニア衛星” の低温環境試験を実施。試験には大阪公立大学小型宇宙機システム研究センターの学生も参加し、高真空極低温用試験装置の使い方をレクチャーするなど、交流を行った。

 <e-kagaku代表理事 北原のコメント>
 e-kagakuでは2024年6月に、世界初となる低軌道帯で高精度のレーザー測距機能を持つ超小型衛星e-kagakuジュニア衛星をアメリカから打ち上げる予定です。e-kagakuジュニア衛星は小型人工衛星CubeSat(キューブサット、10×10×10cmサイズ、重量1kg)サイズとなり、地球上から光学観測できるほぼ限界の大きさです。衛星に搭載されたmini-Mt.FUJI(JAXAが開発した衛星レーザー測距(SLR:Satellite Laser Ranging)用の超小型反射器)に向けて地上のSLR局からレーザーを照射し、反射して返ってきた光を再び検知するまでの往復時間を計測することで、SLR局と人工衛星との距離を高精度(mmオーダ)に測定することができます。そのデータはスペースデブリ(宇宙ゴミ)の軌道解析や民間人の宇宙旅行に必須な宇宙保険の料率計算など、急成長する宇宙ビジネスに大きく寄与するものと考えられます。今回、その打ち上げに必要となる低温環境試験を宇宙科学技術研究センターにて実施させていただく運びとなりました。本協定を通じて、急成長する宇宙ビジネスの発展に寄与できる人材の育成を進めてまいります。

■大阪公立大学研究推進機構協創研究センター宇宙科学技術研究センターについて
 2010年8月1日設立。宇宙関連の研究に携わる第一線の研究者が集結し、相互の知識・技術・情報の共有、部局間の垣根を越えた共同プロジェクトの推進、センターを基盤としたJAXA、NICTをはじめとする他機関との連携協力等を軸として、宇宙研究の戦略的な発展を図る。

■(一社)e-kagaku国際科学教育協会について
 2014年6月設立。Space Robot Contestのほか、小中学校等におけるロボット/サイエンス体験教室や合宿を全国各地で開催。子ども・大人向けのSTEAM教育、ICT教育を行い、科学を通じた人間育成と、そのための環境整備を行っている(https://e-kagaku.com/)。

桃谷順天館 がん分子標的治療薬の副作用 皮膚障害に着目 予防軽減を目指した製剤を開発

 桃谷順天館(大阪市中央区、桃谷誠一郎 代表取締役社長)は、がん分子標的治療薬の一種であるマルチキナーゼ阻害薬による皮膚障害の予防軽減を目指した製剤開発に関する産学研究成果を、第8回日本がんサポーティブケア学会学術集会にて発表した(会期2023年6月22日~24日、奈良県コンベンションセンター)。今後、今回開発した製剤を通じて、患者のQOL向上に貢献していきたいと考えている。

 がん治療を行う中で、がん分子標的治療薬を使用することがある。その副作用として皮膚障害が発症することが知られており、例えば、同薬の一種であるマルチキナーゼ阻害薬の場合、手のひらや足裏の発赤・過角化・痛みといった皮膚障害が生じ、患者のQOLが低下するとともに同薬の減量および中止となることがある。
 患者がより安心して効果の高い治療を継続して受けられるようにするため、経験則ではなく、皮膚障害の発症メカニズムに基づいた外用製剤が必要と考え、2015年に産学共同研究をスタートした。

【研究結果】
 これまでに表皮角化細胞にマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブを処置するとその細胞増殖が抑制されるが、アスコルビン酸マグネシウムの同時処置によりその増殖抑制が軽減されることを報告してきた。今回、製剤化に適したビタミンC誘導体を細胞生化学的試験を経て選定し、それを配合しつつ、保湿性能が高く、かつ、使用感が心地良い外用製剤(クリーム)を作製した。この製剤を保湿指導を行うことのある薬剤師・看護師等の医療者の方にアンケートの結果、滑らかでのびが良くしっとりを感じることができ、べたつきも少なく、臭いもほとんどなく総合的な印象が良いという結果を得た。

■株式会社桃谷順天館
 https://www.e-cosmetics.co.jp/

夏かぜの1つ、ヘルパンギーナとRSウイルス感染症 全国的な流行

 松野官房長官は6月23日、「ヘルパンギーナ」と「RSウイルス感染症」の全国的な流行について、状況を注視し、感染防止対策を呼びかけた。ヘルパンギーナは夏かぜの一種であり、発熱と口内の水疱性の発しんが主な症状。感染は飛まつ感染と経口・接触感染によって広がる。症状には高熱や口内の水疱が現れ、食事や水分摂取が困難になることがある。治療は対症療法であり、予防には手洗いと咳エチケットが効果的。この疾患は五類感染症に分類され、定点医療機関での報告が行われています。

筆記具の加速度センシングとディープラーニングによって集中力の予測が可能に

 三菱鉛筆株式会社(東京・品川区、数原 滋彦 社長)は、東京大学 大学院薬学系研究科の池谷裕二教授とストーリア株式会社(東京・中央区、田谷 圭司 代表取締役)との共同研究として、筆記具の役割である“書く・描く”ことに加えて、新たな提供価値を創出するための試みの一つとして、筆記具の動きと脳波を記録し、筆記具の動きから脳波を予測するという実証実験を実施した。
 今回の実証実験の結果、筆記具の加速度データから集中力を予測できることが判明した。さらに論文は、2023年度人工知能学会全国大会に採択された。

 三菱鉛筆は、新たな提供価値を検討する中で、日常的な筆記行為を通じて、自分の集中状態を把握することができれば自分自身に合った学習や作業を実現できるのではないかと考えるに至った。さらには、教育分野における授業の最適化や、作業分野における作業効率向上、ストレス軽減にもつなげることが期待される。
 現在、集中力を予測するためには、脳波計などのデバイスを頭部に装着する必要だが、頭部にデバイスを付ける行為自体が煩雑、かつ集中力を下げる要因となる可能性もあり、データ取得において多くの課題を抱えている。筆記具の動きから集中力の予測が実現できれば、新たなデータ取得の方法になり得るとも考えている。

【実験手法】
 筆記具に装着し加速度を測定できるアタッチメント型のIoT機器(ストーリア製 試作品「Penbe」)を装着し、筆記動作をセンシングできるようにした。この筆記動作センシングと同時に、脳波計を被験者に取り付け、集中力やタスクパフォーマンスとの関連が知られている脳の前頭葉のガンマ波成分を計測した。これらの筆記動作(加速度)とガンマ波の二つを、ディープラーニングの一つである「長短期記憶ニューラルネットワーク手法(以下LSTM手法)」を用いて、時系列的に分析した。

【実験タスクの概要】
 アラビア語学習経験のない被験者を対象に、60分間アラビア語の書き写しを行い、その後10分間ずつ絵画と数理クイズのタスクを課した。アラビア語の書き写しをする60分間においては、集中を阻害するために、外部から各種の妨害(動画視聴やフリートーク)を行った。

【本研究成果のポイント】
・外部から妨害を行った時間帯では、妨害の少ない時間帯に比べて、ガンマ波強度/デルタ波強度比率の平均が低いことがわかった。そのため、ガンマ波強度/デルタ波強度比率が、集中度合いの指標として用いることが妥当と確認できた。

・筆記動作からLSTMネットワーク手法を用いて予測したガンマ波強度/デルタ波強度比率と、実際のガンマ波強度/デルタ波強度比率の、時系列変化の推移がほぼ一致することを確認した。

・ガンマ波強度/デルタ波強度比率が0以上になる時間帯を集中、0以下になる時間帯を不集中と分けると、感度 (実測した脳波に対し、筆記動作から正しく予測できた割合)は、83.0%となった。

(注1)ガンマ波の発生量が課題に対する集中力と関連があることは過去の研究で示され、脳の休憩状態と関連するデルタ波で補正して集中力指標としての有効性が示唆されているが、「集中力」に対するより明確な定義や評価方法の確立は今後も検討が必要である。

(注2)被験者の数が限られており、さらに筆記具の加速度データと脳波データの関係は被験者によって異なる可能性があるため、汎用的な手法を提供するには、より多くの被験者を集めた実験が必要である。

【考察】
 この実験によって、LSTM手法を用いて筆記具の加速度データからデルタ波を予測できることが示された。これは、脳波を直接測定することなく、日常的に使用する筆記具から脳内の状態を予測することができることを意味しており、教育や作業といったさまざまな場面において応用することができると考えられる。

【論文情報】
張天依、佐藤由宇、田谷圭司、福田昂正、池谷裕二
筆記具の加速度センサーによる大脳皮質ガンマ波の予測
第37回人工知能学会全国大会(熊本)、2023年6月9日、4Xin1-31

佐賀県 吉野ヶ里遺跡で新発見、邪馬台国時代の石棺墓

 佐賀県の吉野ヶ里遺跡の「謎のエリア」で、邪馬台国時代の石棺墓とみられる発見があった。この石棺墓は、縦1.7メートル、横3.2メートルの大きさで、石の表面には「線刻」と呼ばれる多数の記号が刻まれている。これまで神社のため発掘が行われていなかった謎のエリアで見つかった。一般の石棺墓より規模が大きく、見晴らしの良い場所にあり、邪馬台国があったとされる時期と重なっていることから、王や有力者の墓の可能性もあるという。佐賀県は、6月5日に入り口を開けて副葬品などを調査する予定。

慶應義塾大 ゲノム編集技術とiPS細胞を組み合わせた脳挫傷に対する新規治療法開発

 慶應義塾大学医学部脳神経外科学教室の戸田正博教授らの研究グループは、ヒトiPS細胞由来の神経幹細胞(Neural stem cell:NSC)が、損傷脳組織に向かって集まることを証明し、NSCを脳機能改善のために治療応用する安全な再生医療の研究を進めている。
 この研究では、ゲノム編集技術を用いてiPS細胞に自殺遺伝子を組み込み、「治療用NSC」に誘導後、脳内に移植することにより、脳挫傷モデルマウスの運動機能を改善することができた。さらに、プロドラッグを投与することにより、脳内移植後、未分化な状態で残存したNSC細胞を死滅させることができた。これにより、iPS細胞を用いた再生医療において問題視される移植細胞の腫瘍化リスクを回避できる。
 治療用NSCは、脳内の損傷部位に遊走し、低下した脳機能を改善できる可能性が期待されている。脳挫傷に対する安全な再生医療の実現のため、早期の臨床試験開始を目指して、現在、臨床グレードの治療用NSCの作製準備を行っている。

 この研究成果は、2023年4月8日(日本時間)に英科学誌STEM CELLS(オンライン版)に掲載されている。

モデルナとIBM 量子コンピュータとAIの利用で協力 mRNA研究を加速

 モデルナとIBMは米国現地時間4月20日、量子コンピューターや人工知能などの次世代技術を探索することで合意し、モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)の研究とサイエンスの進展・加速を目指すことを発表しました。
 両社は、量子技術を活用した最先端のライフサイエンス分野のユースケースを探求するとともに、科学者が分子の特性を予測するためのAI基盤モデル「MoLFormer」を活用し、最適な安全性と性能を持つmRNA医薬品の設計を行うことを目指すとしている。
 また、モデルナは、「IBM Quantum Acceleratorプログラム」および「IBM Quantum Network」への参加も予定している。

熱中症警戒アラート 4月26日から開始

 気象庁と環境省は、熱中症の危険性が極めて高いと予測された場合に発表される「熱中症警戒アラート」の今年の運用が、4月26日から10月25日まで開始されることを発表した。

 警戒アラートは、全国の府県予報区ごとに前日の午後5時ごろと当日の午前5時ごろ、気温や湿度などをもとにした暑さ指数が33以上と予測された場合に発表される。
 去年は4月下旬から10月下旬までの運用期間中に、889回発表された。
 熱中症警戒アラートが出された際には、不要不急の外出を避け、適切にエアコンを使用し、こまめに水分補給するようなど、ふだん以上に熱中症の対策を徹底するよう呼びかけている。

火星を想定した環境で1年間生活 実験施設をNASAが公開

 アメリカ航空宇宙局(NASA)は4月11日、将来の火星有人探査を見据えて、火星に似せた環境で1年間行う、生活実験施設を公開した。テキサス州のジョンソン宇宙センターにあるこの施設には、3Dプリンターで建設された160平方メートルの建物があり、個室の寝室が4つ、共同で使うシャワーやリビングルーム、実験室、野菜栽培装置などが備えられている。

 また、火星の環境を再現して赤い砂を敷き詰めた約110平方メートルの外部スペースもあり、火星での長距離歩行などの実験が行われる予定だ。
 NASAは、今年6月から4人のボランティアが約1年間の生活実験を行い、将来の火星有人探査に生かす予定。この実験を通じて、地球から離れた環境での限られた物資での生活が健康状態や活動にどのような影響を与えるのかを理解することが目的だ。

国立科学博物館 筑波実験植物園 日本屈指の品種展示数を誇るコレクション特別公開「さくらそう品種展」のご案内

 国立科学博物館筑波実験植物園(細矢剛 園長)は、4月15日(土)から4月23日(日)まで、コレクション特別公開「さくらそう品種展」を開催する。
【詳細URL:https://tbg.kahaku.go.jp/event/2023/04sakura/

 さくらそう品種展では、国内屈指のさくらそう品種コレクション100品種以上を特別公開する。さくらそうの多様な園芸品種は、日本の野山に自生するわずか1種の野生種をもとに、江戸時代から作出されてきたもの。公開展示では、さくらそう園芸品種の作出の歴史を科学的に紐解き、日本の伝統園芸文化を紹介している。
 

レクション特別公開「さくらそう品種展」開催概要

【会  期】令和5年4月15日(土)~令和5年4月23日(日)計8日間
【休 園 日】4月17日(月)
【開園時間】9:00~16:30(入園は16:00まで)
【場  所】国立科学博物館筑波実験植物園教育棟及びその周辺
【主  催】独立行政法人国立科学博物館筑波実験植物園、筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター
【協  力】筑波大学さくらそう里親の会、NPO つくばアーバンガーデニング
【展示構成】
 ①さくらそう園芸品種の展示
 筑波大学が保有するさくらそう園芸品種 100 品種以上を展示。
 ②さくらそう園芸品種の作出の歴史
 サクラソウの野生種からの園芸品種作出、多様化の歴史について最近明らかになってきた科学的知見とともに、パネル紹介。


国立科学博物館: https://www.kahaku.go.jp/
国立科学博物館筑波実験植物園: https://tbg.kahaku.go.jp/
コレクション特別公開「さくらそう品種展」:https://tbg.kahaku.go.jp/event/2023/04sakura/