Category: 塾ニュース|サイエンス

リウマチ診断、生体物質発見

 京都大学の吉富啓之特定准教授らは、関節が痛んだり腫れたりする関節リウマチを診断する新しい生体物質を見つけた。血液中に含まれる複数の物質の増減を調べると、9割以上の精度で診断できるという。研究成果は米科学誌「プロスワン」に掲載された。研究グループは、血液中に含まれる「マイクロRNA(リボ核酸)」という物質に着目した。関節リウマチの患者102人と健康な人104人から血液を採取して調べた。その結果、3種類のマイクロRNAの量が患者と健康な人では大きく違っており、診断に使えると結論づけた。

人工甘味料入り飲料で健康リスク増大も

 人口甘味料を使ったダイエット飲料を日常的に消費すれば、普通の清涼飲料水以上に肥満や生活習慣病のリスクが高まる恐れがあるという調査結果が7月10日の医学誌に発表された。米パデュー大学の研究チームが、ダイエットソーダに使われている人口甘味料には、体内や脳内の仕組みを混乱させる作用があることをつきとめた。ダイエットソーダばかり飲んでいる人が本物の糖分を摂取すると、血糖値や血圧を調整するホルモンが分泌されなくなるという。

京大、iPSで軟骨再生「野球肘」など機能回復

 京都大学iPS細胞研究所(山中伸弥所長)は、iPS細胞を使った軟骨の再生医療の研究に乗り出す。事故やスポーツ障害で損傷した関節部分にiPS細胞からつくった軟骨を移植して機能の回復を狙う。質の高い軟骨をつくり出す基盤技術にめどが付いたとしており、動物実験などで安全性を検証し、6~7年後の臨床研究を目指す。

早稲田大学  エンジンの熱効率、新理論で60%に

 早稲田大学の内藤健教授は7月8日、自動車のエンジンの効率を高める新たな燃焼方法の理論を見つけたと発表。燃焼室で複数の方向から音速に近い速さで燃料を吹きこんで一点でぶつけて圧縮して燃焼させる。コンピューターでの数値計算で可能性を確かめた。エンジンの試作を終えており、今年度内に実証試験でおおよその性能を調べる。自動車のガソリンエンジンは過去20年間で燃費が1.5倍になったといわれるが、熱効率は最大でも30%。低速運転のときには15%にとどまる。より効率的な燃焼方法を探る研究が進んでいる。

啄木10位  盛岡尋常中に合格時の席次表

 石川啄木(1886~1912年)が盛岡尋常中(現・盛岡一高)を受験、合格した際の席次表が見つかり、東京古書会館(東京・神田)で7月7日開かれる「明治古典会七夕古書大入札会」に出品される。啄木の席次は合格者128人中10位。入学時の年齢は12歳と、通常より1年早い受験にもかかわらずの好成績で“神童”とうたわれた少年時代の英才ぶりをうかがわせる。石川啄木記念館(盛岡市)によると、入試成績は知られていたが、裏付ける資料が確認されたのは初めて。

クロマグロ養殖を陸上で 水産総合研究センター

 独立行政法人水産総合研究センターは7月3日、クロマグロを大量養殖する技術を確立するため、陸上で採卵する施設を長崎市に稼働させたと発表。多くの卵を採取した上で別の場所でふ化させ、養殖に使える大きさに育てる。同センターの西海区水産研究所に直径20メートル、深さ6メートルの円柱形の2つの水槽を設け、親となる114匹を入れた。2年後に受精卵の回収を始める。受精卵は鹿児島県奄美群島の陸上施設に空輸し、稚魚に成長させ海上のいけすに移す。4年後に約10万匹の幼魚を供給できる技術の確立を目指す。

東京大学  膵臓がん組織、狙って死滅

 東京大学の片岡一則教授らは、膵臓(すいぞう)がんの組織に抗がん剤を効率的に運び、がん細胞を死滅させることにマウスの実験で成功した。抗がん剤の副作用を下げて、がんの治療効果を高めた。6月25日に米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。白金からできた抗がん剤をなかにくるんだ「ミセル」という直径30ナノ(ナノは10億分の1)メートルほどの微粒子を設計した。抗がん剤と高分子の溶液を混ぜるだけでミセルができる。血管に注射すれば正常な組織に影響を与えずに、がん組織にだけ薬を運べる。

ダチョウ型恐竜の化石、福井で発見

 福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)は6月24日、勝山市内の発掘現場で見つかった化石が、ダチョウ型恐竜「オルニトミモサウルス類」の指先の骨と確認されたと発表。同じ化石の発見は、群馬県神流町、熊本県御船町に次いで3例目。博物館の発掘チームが2008年8月に約1億2千万年前の地層から発見し、種類を特定する作業をしていた。前脚の指先とみられる35ミリと46ミリほどの2片の骨で、ダチョウ型恐竜に特徴的な細長い形だ。