文科省、ヒトES細胞研究などの関連情報を更新

生殖細胞・ヒト胚モデル作成研究の計画一覧も公表

 文部科学省は8月14日、ヒトES細胞研究、生殖細胞作成研究、ヒト胚モデル作成研究に関する関連情報を更新した。ヒトiPS細胞等から生殖細胞またはヒト胚モデルの作成を行う研究計画の一覧、ヒトES細胞の樹立・分配・使用に関する計画の一覧、国内で樹立されたヒトES細胞株および国内で使用実績がある海外樹立ヒトES細胞株の一覧を更新した。

 ヒトES細胞やヒトiPS細胞を用いる研究は、再生医療や発生生物学などの基礎研究を進める上で重要な分野である一方、生命倫理面で慎重な取り扱いが求められる。文科省は、研究の適正な実施に向けて、樹立、分配、使用、生殖細胞作成、ヒト胚モデル作成に関する指針や手引きを整備している。

 2026年2月13日には、「ヒトES細胞の使用に関する指針」「ヒトES細胞の樹立に関する指針」「ヒトES細胞の分配機関に関する指針」などを一部改正し、同年4月1日に施行した。4月1日には各指針のガイダンスも掲載している。

 また、6月8日には、倫理研修参考資料として「ヒトES細胞を用いる研究を実施しようとする場合のルール『ヒトES細胞の使用に関する指針』の概要」を更新した。研究機関や研究者が指針を理解し、適切な手続きを踏んで研究を進めるための研修資料として活用される。

 ヒト胚モデル作成研究をめぐっては、科学技術の進展により、研究可能性が広がる一方、社会的理解や倫理的な議論も欠かせない。文科省は、提出された研究計画や細胞株の使用状況を公表することで、透明性を確保しながら、生命科学研究の適正な推進を図る考えだ。

 今後は、再生医療や創薬、発生メカニズムの解明につながる研究を支えつつ、生命倫理との両立をどのように図るかが引き続き重要な課題となる。

松田綜合法律事務所、日本版DBS対応セミナーを開催

保育・教育事業者向けに施行前の実務対応を解説

 松田綜合法律事務所は、9月8日、保育園、幼稚園、認定こども園、学習塾などの教育関連事業者を対象に、「こどもの安全対策セミナー〜性加害編〜」を開催する。日本版DBSとも呼ばれる「こども性暴力防止法」の施行を前に、事業者が今取り組むべき実務対応を解説する。

 こども性暴力防止法は、子どもと接する事業を行う事業者に対し、採用時や在職中の確認体制の整備などを求める制度。施行を控え、来年度に向けた採用活動や職員配置の検討が本格化する時期に、採用時の確認体制や施設内ルールの整備を進める必要性が高まっている。

 セミナーは2部構成で実施する。第1部では、日本版DBS導入に向けて事業者が取り組むべき4点をテーマに、制度の概要や最新動向、確認方法、確認結果を踏まえた対応、施行前に準備すべき事項を取り上げる。

 第2部では、施設内で性加害や虐待に関する通報を受けた場合の初動対応を扱う。子どもの安全確保を最優先に、保護者対応、関係者への説明、聞き取り時の留意点、警察・行政との連携、安全体制の構築などを、事例を交えて解説する。

 同事務所は2026年3月にも「こどもの安全対策セミナー」を開催しており、今回は最新の制度動向や導入前に生じやすい実務課題を踏まえて内容を再構成した。リアル開催の特徴を生かし、講師への直接質問や個別の質疑応答の時間も設ける。

 会場は大手町ファーストスクエアカンファレンスで、参加費は無料。定員は30社で、1法人2名まで参加できる。参加者には、日本版DBS対応に関する無料個別相談も用意する。

SSH生徒研究発表会、表彰校を決定

奈良女子大学附属中等教育学校に文部科学大臣表彰

 文部科学省と科学技術振興機構(JST)は、令和8年度スーパーサイエンスハイスクール(SSH)生徒研究発表会を参集形式で開催し、表彰校を決定した。最も優秀な研究発表を行った学校として、奈良女子大学附属中等教育学校に文部科学大臣表彰を授与した。

 同発表会は、全国のSSH指定校や過去に指定経験のある学校の生徒が、日頃の研究成果を発表する場として開催されている。科学技術への興味・関心を高めるとともに、SSHの成果を広く発信することを目的として、平成16年度から実施されている。

 今年度は、SSH指定校および過去に指定経験のある239校の生徒・教員が参加した。ポスター発表を経て代表校を選出し、代表12校が全体発表を行った。その結果、文部科学大臣表彰1校、科学技術振興機構理事長賞1校、審査委員長賞2校、奨励賞8校、ポスター発表賞12校、生徒投票賞12校の延べ36校が表彰された。

 科学技術振興機構理事長賞には長野県諏訪清陵高等学校・附属中学校、審査委員長賞には栃木県立宇都宮東高等学校・附属中学校と長崎県立長崎西高等学校が選ばれた。

 SSH事業は、文科省が先進的な理数系教育を実施する高等学校等を指定し、将来の科学技術人材の育成を支援する取り組み。今年度は233校を対象に支援を行っている。生徒による探究活動の成果を発表・共有する機会として、理数教育や探究学習のさらなる充実につながることが期待される。

文科省、京都大学の卓越大体制強化計画を認可

初年度助成は約198億円 8月中に支援開始へ

 文部科学省は8月7日、京都大学の「国際卓越研究大学研究等体制強化計画」を認可したと発表した。計画初年度となる2026年度の助成額は約198億円を想定しており、8月中に助成を開始する予定だ。

 国際卓越研究大学制度は、世界最高水準の研究大学の実現を目指し、10兆円規模の大学ファンドの運用益を活用して、認定大学を最長25年間支援する仕組み。京都大学は7月31日に文部科学大臣から国際卓越研究大学として認定されていた。

 今回、京都大学から体制強化計画の提出を受け、文部科学省は内閣総理大臣および財務大臣への協議、総合科学技術・イノベーション会議、科学技術・学術審議会への意見聴取を経て、同計画を認可した。

 認可を受けた大学は京都大学で、設置者は国立大学法人京都大学。今後は、研究体制の強化や研究成果の活用、人材育成、国際的な研究力向上に向けた取り組みが本格化する。

 国際卓越研究大学の認定は、東北大学、東京科学大学に続き3校目となる。巨額の長期支援を受ける京都大学が、基礎研究の強化や若手研究者の育成、研究成果の社会実装をどのように進めるかが焦点となる。

京進、海外進学準備校の提携大学を拡大 英国・ニュージーランド・韓国・香港の世界8大学が新たに対象に

 京進が運営する「京進の海外進学準備校 UNSWファウンデーション・スタディーズ・プログラム 京進京都キャンパス」は、プログラム提供元であるUNSW Collegeが、新たに世界4カ国・8大学と進学パートナーシップ協定を締結したと発表した。これにより、国内で9カ月間のファウンデーションプログラムを履修した受講生の海外大学進学の選択肢がさらに広がる。
 新たに対象となるのは、英国、ニュージーランド、韓国、香港の大学。英国では、名門研究大学群「ラッセルグループ」に所属するクイーン・メアリー・ロンドン大学、サウサンプトン大学、リバプール大学、カーディフ大学に加え、ラフバラー大学が加わった。さらに、ニュージーランドのビクトリア大学ウェリントン、香港都会大学、韓国の成均館大学とも新たに協定を結んだ。
 UNSW京都キャンパスは、2023年2月に開校した日本初の大学附属ファウンデーションコース。京進が、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学への進学を支援するUNSW Collegeとライセンス契約を結び、京都で運営している。受講生は日本国内で大学進学準備課程を学び、英語力やアカデミックスキル、専門分野の基礎を身につける。
 歴史的な円安や渡航費、現地滞在費の高騰を背景に、海外渡航期間を抑えながら国内で進学準備ができるプログラムへの関心は高まっている。今回の協定拡大により、オーストラリアだけでなく、英国、アジア、オセアニアの有力大学への進学ルートも強化された。
 京進は、質の高いグローバル教育の提供を通じて、世界を舞台に活躍する人材の育成を支援する考えだ。海外大学進学を目指す高校生にとって、国内で準備を進めながら複数国の大学を視野に入れられる新たな進学モデルとして注目される。

河合塾「Kei-Net」、志望理由書対策を公開

総合型・学校推薦型選抜の出願準備を支援

 河合塾が運営する進路・大学入試情報サイト「Kei-Net」は、総合型選抜・学校推薦型選抜に向けた出願準備を支援する新コンテンツ「志望理由書対策」を公開した。志望理由書の基礎知識から自己分析、文章構成、提出前の確認までを段階的に解説し、夏休みに本格的な準備を始める受験生をサポートする。

 総合型選抜・学校推薦型選抜は年々拡大しており、2025年度の大学入学者に占める割合は、国公立大学で25%近く、私立大学では60%以上となっている。多くの大学で課される志望理由書などの出願書類は、合否を左右する重要な要素となる一方、受験生にとっては「何から始めればよいか分からない」と感じやすい分野でもある。

 新コンテンツでは、「志望理由書とは」「志望理由を明確化するには」「志望理由書を書く前に」「志望理由書を書いてみよう」の4項目で構成する。大学で学ぶ目的を整理し、時系列を意識しながら自分の経験や関心、将来の目標を結びつけて考えられるようにした。

 また、いきなり文章を書き始めるのではなく、自己分析や学問・大学調べを行うことの重要性も示している。自分の過去・現在と、将来やりたいことをつなげながら、志望校で学ぶ必然性を整理する流れを重視した。

 文章作成時には、内容を見直すための「8つのチェックポイント」も掲載する。受験生が自ら志望理由書を確認し、ブラッシュアップできるようにした。

 Kei-Netでは、今回の志望理由書対策に加え、総合型・学校推薦型選抜の基礎知識、入試結果、大学検索、小論文・総合問題対策、面接対策、実技対策なども提供している。総合型・学校推薦型選抜の拡大に伴い、受験生だけでなく、保護者や高校教員にとっても、出願準備を支える情報基盤として活用が広がりそうだ。

自由研究でのAI活用は9%にとどまる 一方で「AIリテラシーは小学生から」が8割超

 DeltaXが運営する塾選びサービス「塾選」は、小学生の保護者を対象に「自由研究へのAI活用」に関する調査結果を発表した。自由研究でAIを利用する予定がある家庭は9%にとどまり、「利用する予定はない」が63%と多数を占めた。生成AIの機能が広がるなかでも、小学生の自由研究での活用は慎重に見られている。

 自由研究を通して子どもに最も身につけてほしい力では、「考える力」が36%で最多となった。「粘り強く取り組む力」「観察する力」が各14%、「自分でテーマを見つける力」が13%で続いた。保護者は、研究成果そのものよりも、子どもが自分で考え、観察し、試行錯誤する過程を重視していることがうかがえる。

 AIを利用しない理由としては、安易にデジタルツールに頼らず、図書館で調べたり、自分の目や手を使って観察したりする経験を大切にしてほしいという声が寄せられた。学校でAI利用が認められているか分からない、AIの情報の正確性を子どもが判断するのは難しいといった不安も挙がった。

 一方で、AIの活用そのものを否定する声ばかりではない。保護者が許容できる使い方としては、テーマや調べ方のヒントを得る、調べた内容を整理する、誤字脱字を確認するといった補助的な利用が目立った。反対に、テーマ決めから考察、文章作成までをAIに丸投げすることや、観察・実験をAIで代替することには抵抗感が示された。

 また、AIリテラシーを学ばせたい時期については、「小学校5・6年から」が33%で最多となり、「小学校3・4年から」が26%、「小学校1・2年から」が23%で続いた。小学生のうちからAIリテラシーを学ばせたいと考える保護者は82%に上る。

 AI入力への懸念では、「氏名や学校名などの個人情報」が64%で最も多く、「位置情報や生活圏が分かる情報」「顔写真や家族写真」も不安材料として挙げられた。自由研究は、AIを使うかどうかだけでなく、どこまで任せるか、どの情報を入力してよいかを考える機会にもなり得る。学校や家庭で、AIとの適切な付き合い方をどう教えるかが今後の課題となりそうだ。

成基、岐阜県山県市と共同利用型メタバース教育支援センターを開設 東海地方初の参画 5自治体で不登校支援を展開

 成基は、岐阜県山県市と連携し、不登校児童生徒支援を目的とした「複数自治体による共同利用型メタバース教育支援センター」を開設する。山県市は同事業に参画する自治体として東海地方初の事例となる。

 同事業は、学校に通いづらさを抱える児童生徒に対し、自宅などから参加できるオンライン上の居場所と学びの機会を提供するもの。児童生徒はアバターを使ってメタバース空間に入り、顔出しをせず、自分のペースで他者と関わることができる。

 背景には、不登校児童生徒数の増加がある。従来型の教育支援センターだけでは支援が届きにくい児童生徒に対し、自治体には多様な学びや居場所の提供が求められている。成基はこれまで京都市などと連携し、メタバースを活用した不登校支援に取り組んできた。

 今回の共同利用型モデルでは、単独自治体では構築が難しいオンライン支援体制を複数自治体で活用する。2026年6月時点で、京都府から2自治体、滋賀県から2自治体、岐阜県山県市の計5自治体が導入を開始した。

 センターでは、スタッフによる声かけやコミュニケーション支援に加え、学習活動、探究活動、交流イベントなどを実施する予定。オンライン上の関わりにとどまらず、必要に応じて教育支援センターや学校、地域の支援機関とも連携し、社会的自立や再登校、次の進路選択につなげる。

 山県市の林宏優市長は、家庭を居場所にしている子どもたちにも人とのつながりや学習機会を保障し、すべての子どもに生きる力をつけていきたいとコメントしている。

 成基は今後、参画自治体との実践を通じて知見を蓄積し、他自治体との連携や広域展開も視野に入れる。地域や家庭環境に左右されず、子どもたちが安心して学び、人とつながることができる不登校支援モデルとして、今後の広がりが期待される。

福岡工業大学、先進工学科に「半導体工学コース」新設

 福岡工業大学は2027年4月、学部学科の改組にあわせ、工学部に新たな理工学分野のコースを開設する。その一つとして、先進工学科に「半導体工学コース」を新設する。募集人員は20人で、少数精鋭による半導体人材の育成を目指す。

 同コースでは、1〜2年次に半導体工学の基礎となる物性、材料、電子回路などを学び、3年次から半導体に特化した知識や技能を深める。1〜3年次を通じて、台湾での学修に備えた語学学習にも取り組む。

 最大の特徴は、学生全員に台湾の大学への約半年間の留学機会を提供する点だ。留学先には、TSMCと連携する台湾の国立雲林科技大学などを想定しており、現地の研究室に所属しながら、福岡工業大学の卒業要件と互換する形で卒業研究に取り組む。国内外の半導体メーカーで活躍できる実践的な知見を身につける狙いがある。

 国立雲林科技大学は、台湾・雲林県斗六市にある科技大学で、工学部や管理学部などを擁する。半導体分野では、実務経験を持つ教員が多く、企業と連携した教育プログラムを展開している。台湾の半導体関連企業へ多くの人材を送り出している点も特徴だ。

 コース開設に先立ち、2026年9月には福岡工業大学電子情報工学科の4年生4人が、モデルケースとして雲林科技大学へ留学する。約4カ月半にわたり現地で卒業研究に取り組む予定で、長期留学と単位互換を伴う卒業研究は同大学初の取り組みとなる。

 九州では半導体関連産業への注目が高まっており、地域産業を支える高度人材の育成が課題となっている。福岡工業大学の新コースは、台湾との教育連携を通じて、半導体業界の即戦力となるエンジニアを育てる取り組みとして注目される。

ストライクグループ社長、一橋大学へ自社株50万株を寄付

 ストライクグループは、創業者で代表取締役社長の荒井邦彦氏が、所有する同社株式の一部を国立大学法人一橋大学に寄付したと発表した。寄付した株式数は50万株で、発行済株式総数に対する割合は0.87%。実行日は8月7日。

 荒井氏は一橋大学の出身で、今回の寄付は母校への感謝に基づく社会還元として、同大学の教育・研究活動を持続的に支援することを目的としている。

 あわせて、同社株式の浮動株比率の向上も狙う。東京証券取引所の株価指数であるTOPIXの見直しへの適合や残留に向けた取り組みの一環として位置づけている。

 同社によると、今回の寄付に伴う主要株主および筆頭株主の異動はない。

 ストライクグループは、M&A仲介やM&Aプラットフォームの運営、企業価値評価・向上に関するコンサルティングなどを手がける東証プライム上場企業。大学への株式寄付を通じて、教育・研究支援と資本市場上の課題対応を同時に進める取り組みとなる。