学研HDが自社株買い 最大11億円

学研ホールディングスは6月30日、11億5850万円を上限に自社株買いを実施すると発表した。取得株数の上限は35万株で、発行済み株式(自己株式を除く)の3.79%に当たる。期間は7月3日から10日まで。提携先の学習塾大手の市進ホールディングスが学研HD株33万8000株を売却する意向で、株式売却による需給の悪化を避ける。

KEC教育グループ、木村剛氏が代表取締役社長に就任

大阪府や滋賀県を中心に塾予備校、語学スクール、日本語教師養成講座などを展開するKEC教育グループ(ケイ.イー.シー.株式会社)は7月1日、学院長の木村剛氏が代表取締役社長に就任したことを明らかにした。創業以来代表取締役社長を務めたルパン木村節三氏は、代表取締役会長に就任した。

木村剛氏

同社は、小・中・高校生を対象にした学習・受験部は「KEC近畿教育学院」「KEC近畿予備校」をそれぞれ14拠点で、「KEC個別指導メビウス」を6拠点で展開。2016年にはKECビジネススクール&コンサルティング東京事業所開設した。

『月刊私塾界』7月号では、株式会社スタディラボが提供するオンライン英会話教材「OLECO(オレコ)」が通常授業に導入した同グループの英語教育改革の取り組みについても紹介している。

塾に先生がいない 人手不足、影響じわり

日本経済新聞は6月24日の夕刊一面トップに「塾に先生がいない 人手不足、影響じわり タブレット使い映像講義 」と題した記事を掲載した。講師がいない教室で教える学習塾は「市進学院」のこと、生徒は端末を通じて自分のレベルにあった映像講義を視聴したり、苦手分野の問題を解いたりして学ぶ。生徒20人に対し、従来は最低10人は必要な大学生アルバイトが1~2人で済む。所謂「自立学習」である。「明光義塾」も高校生向けにタブレットで学ぶコースを導入している、と記事は続ける。

「スクールIE」、「ITTO個別指導学院」は英会話教室と塾のかけもち教師で、人手不足解消の一手とばかりに登場し、「TOMAS」のリソー教育は人材会社と組み、大学生向けの就活相談を無料で始めた、と記事を結んだ。学習塾業界の人手不足もここまできたか?

塾の採用難 対策は?

私塾界の「学習塾白書2016」によると、学習塾業界の2015年度の市場規模は1兆3,510億円と、3年連続で横ばいとなった。学習塾が主たる事業とする会社は全国に4,287社(経済産業省 平成27年度特定サービス産業実態調査報告書の学習塾を運営する会社の単独事業所と本社)のうち、アンケート調査に協力したのが426社、うち上位100社の売上合計は7,089億円である。これは学習塾業界も寡占化の時代に突入したことを意味する。講師数も8万8074人と微増だが、アルバイトなどの非常勤講師が増え、正社員の専任講師は減っている。
講師確保に向けた取り組みも動き出した。公益社団法人全国学習塾協会(安藤大作会長)は「安心塾バイト認定制度」を開始、株式会社成学社(太田昭弘代表)、株式会社スプリックス(平石明社長)などを認証した。成学社は認定により知名度が向上し、講師に応募する学生が増えたと発表している。

鷗州コーポレーション 峯岳徳氏が代表取締役社長に、桑原克己氏が代表取締役専務に就任

株式会社鷗州コーポレーションは、6月28日に開催した株主総会で、代表取締役副社長の峯岳徳(みね・たかのり)氏が代表取締役社長、同社専務取締役でAIC NZ.Ltd.取締役社長の桑原克己(くわばら・かつみ)氏が代表取締役専務に就任したことを明らかにした。同社は、国内外で正規の学校経営・学校支援事業、およびスポーツ支援事業を展開し、鹿児島・福岡・山口・広島・岡山・兵庫・大阪・京都に鷗州塾、AIC開智学館、鷗州ハイスクール、進学ゼミWIN、鷗州個別ゼミ、AICかもめ個別教室、鷗州塾パソコン教室、AIC幼稚舎、AIC Kidsを運営している総合教育機関。

峯岳徳氏

峯氏は、「『日本の学校へ進学したい』『海外の大学に進学したい』といった、生徒たちのあらゆる夢に応えられる『総合学習機関』として、さらに組織を磨いていきたい。グループには、ニュージーランド(AICNZ)と日本(AICJ鷗州学園)に学校があり、飛躍的な英語力を獲得できるメソッドを確立している。また、27万人近くいる卒塾生の有機的な繋がりを活かし、社会に出ても塾生同士が共創し合える文化を今後さらに高めていきたい」とコメントした。

桑原克己氏

また、桑原氏は「進学塾の鷗州塾と、インターナショナルスクールのAICおよび、国際バカロレア認定校であるAICJ中学高等学校それぞれの強みを活かし、相乗効果を発揮できるように取り組みたい。まずはAICNZで培った英語教育メソッドを日本国内外に展開して行きたい」と意気込みを語った。

これまで23年にわたって、同社の代表取締役社長として鷗州塾の経営を指揮してきた宇津田敬二氏は相談役に就任する。

スタディサプリと佐賀県武雄市 中学生の学力・学習意欲向上のためのICT教材を用いたアクティブ・ラーニングを開始

株式会社リクルートマーケティングパートナーズ(本社 東京都中央区:代表取締役社長 山口 文洋)が提供するオンライン学習サービス『スタディサプリ』は、2017年5月から佐賀県武雄市と『中学生の学力・学習意欲の向上』に関連した業務連携協定を締結し、取り組みを開始した事を発表した。

佐賀県武雄市では、2014年度より市内すべての小学校の全児童に、2015年度からはすべての中学校の全生徒に1人1台のタブレットを配布し、動画を活用した予習を行った上で授業に臨む「スマイル学習(武雄式反転授業)」を実施している。『スタディサプリ』は、“世界の果てまで、最高のまなびを届けよう“をコンセプトに、教育環境格差の解消を目指し2011年にスタートした、 実力派講師による講義動画10,000本以上が月額980円(税抜)で見放題のオンライン講義動画だ。

業務連携協定では、2017年5月より、武雄市内の中学校2校において、個人の習熟度に合わせて学習内容を提供するアダプティブラーニングの手法を取り入れるとともに、学習の状況や理解度を踏まえ、個々に適切なアドバイスを実施していくことで、学力・学習意欲の向上を図る。具体的には、各生徒は、朝学習を中心に『スタディサプリ』を利用し、個別に単元を選択しながら学ぶことで、苦手分野や理解の足りていない単元など、学年を超えて学習することが可能となる。また、学力や学習意欲の向上については、全国的な学力調査や武雄市が実施するアンケート調査の結果等を分析し、効果のほどを定量・定性面から検証していく。

月刊私塾界2017年7月号(通巻435号)

巻頭言

第3次AIブームと云われて久しい。これは爆発的に普及したインターネットとともに、ビッグデータを使った機械学習が広がり、更にディープラーニングの開発により拍車がかかる。
 しかし、AIと言えばGoogleやIBM、マイクロソフトなどが代表的企業で、日本企業の名は出て来ない。この彼我の差や如何に。答えは、若手が権限や発言権を持っているかどうかに因る。硬くなってしまった頭では、新しい世界を創造、想像できない。
 ノーベル物理学賞に輝く天野 教授は、24歳時の窒化ガリウム結晶創製という研究成果で受賞した。アインシュタインは25歳時の研究で受賞した。アップルやマイクロソフトの創業者が頭角を現すのも20代前半である。
 学習塾業界でも同じような現象が起きている。AIを利用したアダプティブラーニング、探求学習、ICTをフル活用した英語教育、そして授業料無料の学習塾などなど。皆20代から30代半ばの方が立ち上げている。どれも斬新なアイデア満載だ。古い世代では及びもつかないフォーマットである。
 彼ら彼女らに共通することがある。世の中を変えようとする強い意志、利益一辺倒でない、基本的にオープンソースであり独占しない、アライアンスに対してもオープン、覇権を目指さないなどだ。
 AIが普及し、多くの仕事がなくなると云われるが、前記のようなマインドであれば、恐れることは無い。そして社会を変革することを期待する。読者諸兄もチャレンジを。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp01 株式会社学研アイズ
      合格実績にこだわり続けながら、未来を見据えた教育も積極的に導入
  • 8 CatchUp02 株式会社もものはな
      小学生のうちから医学部を目指す子を育てる塾
  • 10 CatchUp03 KEC近畿教育学院
      「〝英語に強い〟KEC教育グループ」の英語教育改革
  • 12 挑む大学 武蔵大学
  • 16 挑む私学 夙川学院中学校・高等学校
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 44 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 45 【特集①】株式公開企業塾
       2017年2・3月期決算を読む
  • 54 【特集②】アジアは新たな市場となり得るか?
       教育サービスの海外進出
  • 62 HOT TOPICS 1
       塾業界の労働環境向上のために
       「安心塾バイト認証制度」に存在感
  • 64 HOT TOPICS 2
       順位は決めない、選りすぐりの講師が
       洗練された授業を披露する
  • 66 HOT TOPICS 3
       講師たちの熱気がほとばしる
       第12回全国模擬授業大会、栃木で開催
  • 70 続・特別インタビュー
       ピグマリオン学育研究所 所長 伊藤 恭 氏
       浜学園グループの幼児教育を支え続けてきた
       メソッド、ついに全国展開へ
  • 72 教育サービス業界 企業研究(57) 株式会社サン・ロワ
  • 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(282)
  • 76 疾風の如く(96)創心館(大阪府)共同代表 安延 伸悟さん 白数 大介さん
  • 78 好機到来(27)株式会社パラリア 代表 浅見 貴則さん
  • 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(51)
  • 82 白書界隈徘徊話(28) 西村克之
  • 84 自ら動き出すチームにする方法(34) 中谷彰宏
  • 86 陥穽葉書(4)
  • 88 もしも科学の視点が塾であったなら(2)
  • 90 塾の家計簿(2)
  • 92 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(48)
  • 93 芸術見聞録(48)
  • 94 高校生からの子育てハイウェイ(27)
  • 95 塾長の机
  • 96 為田裕行の「教育ICT行」(28)
  • 98 新・授業改革を目指して(97) 石川幸夫
  • 100 林明夫の「歩きながら考える」(143)
  • 102 塾悟性論(4)
  • 104 咲かせよ桜(31) 小林哲夫
  • 108 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(51)
  • 110 論点2017(7) 国立大学教育学部附属校縮小から見えてくるもの
  • 114 編集後記
  • 116 Book Review
  • 118 塾長のためのガジェット講座
  • AIがSNSの投稿内容から性格を分析し、学生と本をマッチング

    近畿大学(大阪府東大阪市)は、AI(人工知能)がSNSの投稿内容から学生一人ひとりの性格を分析し、その人の潜在的興味に一番合致する本を紹介する新サービスを開始することを発表した。この機能は、ウェブアプリケーションの開発などを手掛ける株式会社エイド・ディーシーシー(大阪府大阪市)が開発し、今年4月に開設した近畿大学の新たな学術拠点「ACADEMIC THEATER(アカデミックシアター)」の公式ホームページで、公開されている。

    「ACADEMIC THEATER」の中心施設である図書館「BIBLIOTHEATER(ビブリオシアター)」は、編集工学研究所所長・松岡正剛氏の監修によって、マンガ約2万2千冊を含む約7万冊の本を配架している。これらの本を学生に活用してもらうため、AIを使って、学生一人ひとりに適した本を紹介するサービスを開始する。AIがTwitterもしくはFacebookの投稿内容から学生のキャラクターを分析。心理学のビッグファイブ理論に基づいて、人間の性格を構成するとされる「開放性」「誠実性」「外向性」「調和性」「神経症傾向」の5つの因子に関連する言葉を抽出し、スコア化を行う。AIは、BIBLIOTHEATERに配架している7万冊の本についても、書評を分析して5項目をスコア化。その人の特性分布値と最も近い本をお薦めの本として抽出する仕組みだ。

    小学校英語とグローバル教育を語る パピルス書房主催「教育情報セミナー2017」が開催

    株式会社パピルス書房主催「教育情報セミナー2017」が、6月16日にキャンパスプラザ京都(京都市下京区)で開催された。テーマは、「小学校英語とグローバル教育-新学習指導要領をふまえた中高英語教育との連携も鑑みて-」であり、講師は、中高大入試のみならず、英語教育にも定評ある龍谷大学平安中学高等学校校長補佐の平井正朗氏。

    現在、小学5、6年生にある外国語活動を小学校3、4年生に前倒し、小学5、6年生は「英語」として教科化される。5、6年生では「読む、書く」を加え、3人称や活用頻度が高い過去形、動名詞等にも触れ、英語で話すことが盛り込まれている。語彙は600~700語程度。今回は、小・中・高校で一貫した「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり)」「話すこと(発表)」「書くこと」の5領域別に目標が設定されている点に注目したい。

    平井氏によれば、「教室では、発達段階に合わせた実践が不可欠であり、オール・イングリッシュで遊び、歌い、楽しみながら英語を身につけられる空間づくり」が第一段階とのこと。その上で、「BICS(ビクス:Basic Interpersonal Communicative Skills)レベルの会話を取り入れ、聞いた内容を理解し、行動できる、簡単なスピーチができる、アクティビティーやイベントを通して外国の文化や習慣に馴染み、コミュニケーションする自信をつける」のが第二段階だという。

    保護者の期待は高い反面、小学校現場には、英語の授業に対する「自信がない」という声がある。当然、小中連携、短時間学習の内容と指導法、教材、評価、教員養成といった課題もある。中高現場では国の目標であるCEFRレベルに到達しておらず、その背景には、学習習慣、授業時間や苦手意識やつまづきの原因となる単語や文法といった課題もある。

    平井正朗氏

    学習塾へのアドバイスを求められ、平井氏は次のように締めくくった。
    「日本の学校は、入試を突破し、序列化された学校へ進学することが潮流であったため、そこに学習塾の立ち位置があったように思います。科学技術の発展に相俟って、グローバル化が進み、個々のポテンシャルを最大限に引き出し、複雑化する地球的レベルの問題に果敢にチャレンジできる人物像の育成が求められています。コミュニケーション・ツールとしての発信型英語教育は、社会全体をも巻き込んだ一大プロジェクトであり、教育に携わる者すべてが知恵を絞って模索する段階にあり、それが生徒一人ひとりの夢の実現に結びつくのではないでしょうか」

    教育と探求社 鹿児島県長島でサマースクール「ソーシャルチェンジ in NAGASHIMA」を開催

    鹿児島県・長島町(川添健町長)と株式会社教育と探求社(東京・千代田区、宮地勘司代表)は、2017年8月21日(月)・22日(火)に、長島町にて、島内の中学・高校生対象に課題発見解決型教育プログラムを活用したサマースクール「ソーシャルチェンジ in NAGASHIMA」を開催する。

    「ソーシャルチェンジ」は、教育と探求社が今年4月にリリースした新プログラム。生徒が自ら身近な社会課題を見つけて、解決策を考えることで、社会をより住みやすい場所に変えていくというものだ。

    地方自治体との連携の第1弾として、先進的な地方創生の取り組みを行っている鹿児島・長島町にて実施する運びとなりました。島内の中学・高校生が、身近な課題を自分事として捉え、チームで企画を考えて、プレゼンテーションをします。この取り組みを通して如何に人の心を動かし、どう社会や地元・長島をより良く変えるかを考える。

    また、最終プレゼンテーションには地域住民も参加し、生徒らの提案を如何に実現するか一緒に議論する、教室の中だけでは終わらない学びを体験する2日間となる。

    第1回 ソーシャルチェンジ in NAGASHIMA 開催概要

    ■日 時:2017年8月21日(月) 13:00~17:30
    2017年8月22日(火) 9:00~15:00

    ■会 場:長島大陸Nセンター(鹿児島県出水郡長島町鷹巣1875番地1 4F)

    ■対 象:長島町島内および長島町出身の中学高校生 30名