無線機20台と動画・ロールプレイ教材を無償貸与、1コマ完結の実践型プログラム
無線通信機器大手のアイコム(大阪市平野区)は、中学校教員向けにトランシーバーを活用した防災教育プログラムを開発した。免許や資格が不要なトランシーバー20台と、動画教材、指導用マニュアル、ワークシートをセットにした教材キットを、全国の中学校へ無償で貸与する。提供申請の受付は2026年1月16日から同社ウェブサイトで開始する。
教材は、災害時に通信手段として有効な無線機の特性を理解するとともに、混乱下での情報伝達や連携の重要性を体験的に学ぶことを目的としている。スマートフォンとの違いやトランシーバーの基本操作、災害時に有効とされる「重要事項を二度繰り返して伝える」といったコミュニケーションのポイントを、9分の解説動画で学習。その後、校内を使ったロールプレイング形式の防災訓練を行う。
プログラムは「動画視聴」「ロールプレイ訓練(20~30分)」「振り返り」の3部構成で、50分の授業1コマ内で完結できるよう設計した。最大約40人の生徒が参加でき、避難者捜索、物資確保、情報集約など役割の異なる4チームに分かれてミッションに挑む。生徒は校内に配置されたカードを探し出し、トランシーバーで状況を報告・共有しながら、避難誘導や物資配分を進めていく。
教材開発にあたっては、中学校教諭ら教育現場への事前ヒアリングを実施。「限られた授業時間で実施できること」「教員の準備負担が少ないこと」といった要望を反映したという。教材は学校からの依頼に応じて配送で貸し出され、教員用指導書や生徒用ワークシートなど、授業に必要な一式を同梱する。
2026年3月には、私立桃山学院中学校(大阪市阿倍野区)でデモ授業を実施予定で、これを皮切りに全国の学校への展開を進める。アイコムでは「避難所運営などで無線機が果たす役割は大きく、操作や伝え方を知っているかどうかが人命に関わる。次世代への防災教育の一助としたい」としている。
企業の専門性を生かした学校向け教材の提供は、近年、防災や金融、語学などの分野で広がっており、実社会と結び付いた体験型学習として、今後さらに注目を集めそうだ。




