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学力テスト、縮む地域差

文部科学省は8月25日、小学6年と中学3年の全員を対象にした2015年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。平均正答率で、下位3県の平均と全国平均との差が7科目で前回より0・1~0・4ポイント縮まり、都道府県間の成績格差は下位自治体の改善により縮小傾向が続いた。95%以上の小中学校でテスト結果の分析を通じた指導改善が定着したことが要因とみられる。3年ぶりに実施された理科では、中学生の「理科離れ」が進む現状が浮かんだ。

 全国の国公私立の小中学校約3万校に在籍する約213万人が4月にテストを受けた。国語と算数・数学の2教科で主に基礎的知識を問うA問題と、知識の活用力を問うB問題が出されたほか、理科は抽出調査だった12年度に続き2回目で、全員参加は今回が初めてだった。

 都道府県別の平均正答率では秋田県と北陸3県が例年同様上位を占めた。

 秋田県の小中学生は全10科目中6科目で平均正答率(平均点)が全国で首位になった。平均正答率は、小6の国語A76・0▽国語B76・4▽算数A81・2▽算数B51・5▽理科66・7▽中3の国語A80・8▽国語B70・7▽数学A68・4▽数学B46・9▽理科59・6で、全科目で、全国平均を4ポイント以上上回った。小学校では理科が富山(67・5)、福井(66・8)に続く3位だったほかは、すべて全国首位だった。中学校は国語A、Bが全国首位で、数学A、Bと理科は福井に続く2位だった。

 福井県は、中3の数学A(正答率71・1%)、数学B(同47・7%)、理科(同61・3%)がいずれも全国1位で、ほかの科目も4位以内だった。3教科平均は小6が全国3位、中3は全国1位だった。

 石川県の順位は、小6の国語Aが3位で昨年の全国14位から順位を上げた。国語Bは2位で昨年と同順位。算数Aと算数Bは2位で、ともに昨年3位から順位を上げた。理科は4位(12年は抽出調査で3位)。中3は国語Aが4位で昨年と同順位。国語Bが3位(昨年5位)、数学Aが3位(同4位)、数学Bが3位(同5位)と順位を上げた。理科は4位(12年は抽出調査で3位)。

 富山県は、小6の理科の成績(平均正答率)が47都道府県でトップだった。小6、中3とも全教科で全国平均を上回り、いずれの教科も全国で上位を占めた。

 大阪府の中学3年の成績が大幅に向上しているのが目をひく。府教委がテスト実施に先立ち、学校別結果を高校入試の内申点評価に活用する方針を打ち出したことが、結果的に成績向上につながった可能性がある。大阪府の中学3年の平均正答率は今回、国語・数学の4科目のいずれも、昨年度と同様に全国平均を下回った。しかし、全国平均との差が昨年度は2・8~4・4ポイントあったのに、今回は0・7~1・8ポイントまで縮まり、上昇幅は1・0~3・0ポイントに上った。  

 昨年度に小6算数Aが最下位ランクを脱した沖縄は今回も6位と学力を維持。25年度に改善した高知も、小6国語Aが6位と学力定着がみられた。

 全国的に学力底上げが進んだ背景について、文科省の担当者は「学校現場で学力テストが本格的に活用されていることが一因」と指摘。同時実施された学校への質問紙調査によると、「自校の結果を分析し学校全体で課題を共有した」との回答が、小学校で97・9%、中学校でも95・7%に上った。文科省幹部は「各校が課題を発見し、授業を改善する良好なサイクルができている」と話した。

2015全国学力テスト都道府県別平均点一覧 Sheet1

関大一高 中学側と調整で試験前に大半「合格」

「関西大学第一高校」(大阪府吹田市)が今春の入試で、試験日の1カ月前に中学側と「受験相談」と称する事実上の入学者選抜を行い、中学での成績に基づき大半の合格者を内定した結果、内定者より79点も高い点数を試験で取ったのに不合格とされた受験生がいたことが分かった。「受験相談」の存在や結果は大半の受験生に知らされていなかった。大阪府は入試の選抜方法が不透明だとして同校を指導した。関大一高の橋本定樹校長は「分かりやすい制度にしたい」と話し、募集要項を変えるとしている。

福井国体見据え、体育推薦25校に

福井県教育委員会は8月19日、2018年の福井国体を見据えた体育推薦を16年度の県立高校入試で実施する25校を明らかにした。有望な選手らが志望校を早期に決め、高校の練習に参加できるようにするのが狙いで、公表を例年より2か月前倒しした。募集定員や要項は10月下旬に発表する。今回の推薦入試では、スポーツだけでなく勉学にも励んでもらおうと、従来の面接などと共に国語、英語、数学の学力検査が新たに課されることが決まっている。

16年度千葉県全日制公立高校募集定員 3万4120人 1学級40人増

千葉県教育委員会は8月19日、2016年度の公立高校入試の募集定員を発表した。全日制は前年度より1学級40人増え、3万4120人と2年ぶりの定員増となった。県内にある公立、私立中学校の来春卒業予定者は約5万5380人で、今年の卒業者数と比べ約50人増える見込み。過去3年間の県内進学率の平均値(98・6%)から、来春の進学予定者を5万4605人と予想し、県外や私立高校への進学予定者を割り引いて県内公立高校の定員を決めた。各校の募集定員などは20日午前9時から、県教委のホームページで公開される。

秋田県公立高と県立中、募集定員を発表

秋田県教育委員会は8月6日、2016年度の公立高校と県立中学校の募集定員を発表した。来年3月の中学卒業予定者は前年度比415人減の8552人と見込まれ、高校全日制の募集定員は同215人減の7675人。全日制の定員減は28年連続となる。大館桂、大館、大館工業の3校を統合して新設する大館桂桜の定員は5学科225人。秋田南の英語科(35人)は募集を停止する。一方、県立中学校は秋田南高校中等部(80人)が開校し、3校計220人を募集する。

島根県 公立高第2志望廃止 17年度入試

島根県教育委員会は7月23日、県内公立高校入試について、第2志望校制度を2016年度を最後に廃止し、出願対象を1校のみとする方針を会議で明らかにした。新制度は現在の中学2年生(約6500人)が受験する17年度入学者一般選抜から適用される。出願できる高校を1校のみとしたが、同一校での複数学科の併願は従来通り認める。また、松江北など市内3校は、市内通学区外の定員枠を従来の5%から20%に拡大する。県教委は、新制度での試験の実施要綱を作り、来年1月までに17年度一般選抜の日程などを公表する。

東大、推薦入試募集要項を正式公表

東大は7月22日、平成28年度の入学生から初めて導入する推薦入試の募集要項を正式に公表した。各高校から推薦できる生徒は男女各1人までで、大学入試センター試験の受験が必要。論文などで1次選考を行い、2次選考は面接やセンター試験の成績を総合評価する。募集は各学部合わせて100人程度。内訳は工が30人、法、文、理、経済、農が各10人、教養、薬、医、教育が各5人程度としている。うち医学部は医学科が3人、健康総合科学科が2人程度。東大は7月末から9月上旬にかけて全国9会場で説明会を開く。

全国学力テスト、高校入試反映「大阪府の自主性」と知事

来春の大阪府内の公立高入試の内申点に全国学力テスト(学テ)の学校別結果を反映させる府教委の方針に対し、文部科学省の専門家会議が7月7日、「入試に使うべきではない」との結論を出したことについて、松井一郎・大阪府知事は8日の定例会見で「学テの趣旨から逸脱していない。大阪として自主性を持った形でやらせてもらいたい。国と地方は対等な関係。文科省が(学テを)活用するなと強制する権限はない」と主張。「どうしても大阪方式がやれないなら、徹底して戦う。最後は大臣に説明する」などと述べた。」と反論した。

宮崎大、教育学部、AOを導入

宮崎大は7月3日、来年度の入試要項を発表した。教育文化学部から改称して教員養成に特化する「教育学部」でアドミッション・オフィス(AO)入試を導入するほか、農学部で日本国籍を持たない人を対象とした「グローバル人材育成入試」を導入する。新設される地域資源創成学部(仮称)の定員は90人とした。定員は1035人(前期日程605人、後期日程207人、推薦216人、AO7人)。グローバル入試は前後期日程の一般入試に含まれる。

大学入試、脱「受験英語」へ

文法・読解中心の受験英語から脱却し、文部科学省も導入を促している民間英語テストの利用。国公私立大学の一般入試で、実用英語技能検定(英検)など民間英語テストの利用が広がっている英語テストは、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能をバランスよく取り込み、より実践的とされる。今春の入試までに民間テストを取り入れたのは27校。来春の入試については、5月末時点で青山学院大や東京理科大など9校が新たに導入を決めており、さらに増える見込みだ。