月刊私塾界2026年7月号(通巻543号)

巻頭言

 ビジネスの長期的な成功に創造性が不可欠であることは常識だが、多くのリーダーがその引き出し方に頭を悩ませている。
リーダーはどのようにして、自分自身やチームの発想力を引き出せばよいのか。
まず必要なのは、創造性に対する思い込みを捨てることだ。創造性は、アーティストやデザイナーなど、一部のクリエーターだけの特権ではない。
 また、孤独な時間や突然のひらめきに依存する「コントロール不可能なもの」でもない。人は誰もが本来、創造性を備えており、その力は意識的な訓練によって呼び覚まし、伸ばすことができる。創造性は日々の意思決定や戦略立案、イノベーションのプロセスに組み込める「実践的なスキル」なのだ。
 この創造性を養う上で、現代の課題に特に有効なのが「アナロジー(類推)思考」だ。これは、一見無関係に思える事象に構造的な類似点を見いだし、「発想の源」となる領域の知見を「発想の適用先」となる自社の課題解決に応用する手法である。
 アナロジー思考は単なるテクニックではない。人間の学習プロセスの中核をなすものである。ストーリーテリングからバイオミメティクス(生物模倣)、さらには科学的ブレークスルーに至るまで、多様な分野で活用されてきた。
 アナロジーを探る営みは、日常的な発想から距離を置き、一見無関係に見える事象のつながりに目を向けさせる。
 読者諸氏の思考法や如何に。


 (如己 一)

目次

  • 6 CatchUp 株式会社アイキューブ ブランド間が相乗効果を発揮する 理想的な塾の在り方とは
  • 10 HOT TOPICS 新たな高校教育改革と東京都の実践例
  • 14 塾長の決断(10) 株式会社 TricoLogic 世界へ羽ばたき日本の教育業界に恩返しを
  • 16 挑む私学 公文国際学園中等部・高等部
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 48 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 49 【特集①】  進む通信制高校とサポート校の連携
  • 56 【特集②】 私塾界リーダーズフォーラム2026 S/S [Team It]
  • 72 TOP LEADER Interview 現場をよく見れば、まだヒントはある。 進学プラザグループ
  • 87 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(390)
  • 88 疾風の如く(204) 個別指導シェアスペース solve[株式会社勝木](東京都) 代表取締役CEO 勝木 啓文 さん
  • 90 現代学習塾経営概論(40)
  • 92 ぼくの糸島移住とプログラミング塾開塾史(2)
  • 94 自ら動き出すチームにする方法(142) 中谷彰宏
  • 96 One Target(19) 的場一成
  • 98 PAPER REVIEW(27) 浅見貴則
  • 100 シン・ジュクジン(56)
  • 101 芸術見聞録(156)
  • 102 わが子、就学中(64)
  • 103 塾長の机
  • 104 為田裕行の「教育ICT行」(136)
  • 105 10¹⁵ PETA(62)
  • 106 キクチカラ(19) 菊地香江
  • 107 Opinion from School(84)
  • 108 林明夫の「歩きながら考える」(251)
  • 110 新・授業改革を目指して(151) 石川幸夫
  • 112 私塾界インサイト(100)
  • 116 塾はどこから来たか、塾は何ものか、塾はどこへ行くのか―そして私(56)
  • 118 咲かせよ桜(136) 小林哲夫
  • 122 論点2026(7) 少子化で変わる塾の成長戦略 「教える場」から「学びを設計する場」へ
  • 126 編集後記
  • 128 Book Review
  • 130 塾長のためのガジェット講座

ロイロノート、探究学習ライブラリー「SPARKE」と連携

探究教材をデジタル配布・共有へ 協働的な学びを支援

 授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」を提供するLoiLoは、COMPASSと小学館集英社プロダクションが共同で展開する小・中学校向け探究学習ライブラリー「SPARKE」と連携した。これにより、SPARKEが提供する探究学習プログラムの教材を、ロイロノート・スクール上で活用できるようになる。

 SPARKEは、実社会と教科学習をつなぐ探究学習プログラムを、学校や教員向けに無償で提供している。映像教材、ワークシート、教師用手引書、授業スライドなどをパッケージ化し、授業準備の負担を抑えながらすぐに使える設計が特徴だ。これまで全国の小・中学校で5万人を超える児童生徒に活用されている。

 一方、学校現場からは「ワークシートをデジタルで配布したい」「児童生徒の考えをリアルタイムで共有したい」「振り返りや評価まで一貫して管理したい」といった声が寄せられていた。今回の連携は、こうしたニーズと、ロイロノート・スクールの授業支援機能が合致したことで実現した。

 ロイロノート対応版の教材では、SPARKEのワークシートやルーブリックを、教材セットとしてロイロノート・スクールにインポートするだけで利用できる。紙で配布したり、別形式に変換したりする必要がなく、教員の準備負担を軽減する。

 また、カードの共有、意見交流、提出・回収といったロイロノート・スクールの機能を活用することで、児童生徒同士の協働的な学びを促進できる。授業進行や意見整理、振り返りを支援する専用素材もあわせて提供する。

 先行対応するプログラムは、「お弁当箱を科学する〜材料の性質を活かした製品を考えよう」「古典作品の魅力を広げよう〜プロデュースに挑戦!」「ものづくりの極意を学び、卓球ラケットを開発してみよう」の3本。スケーター、ブシロード、タマスなどの企業と連携した教材で、対応プログラムは今後順次拡大する予定だ。

 利用対象は全国の小・中学校の教員で、費用は無償。SPARKEの会員登録を行い、希望するプログラムを選択して申し込むことで利用できる。

 SPARKEは、教科単元と実社会を結び付けた課題を通じ、子どもたちが自ら考え、解決策を導く探究学習プログラムを提供している。思考力、判断力、表現力に加え、学びに向かう力や人間性を育むことを目指している。

 ロイロノート・スクールは、小学校から大学まで幅広く使われている協働学習・授業支援プラットフォーム。資料のやりとり、提出物管理、思考ツール、協働編集、自動採点テストなどの機能を備え、国内外約1万4000校、約300万人に利用されている。

 探究学習は、教科学習の知識を実社会の課題解決に結び付ける学びとして重要性が高まっている。一方で、教材準備や児童生徒の活動記録、評価の負担は学校現場の課題でもある。今回の連携は、探究教材と授業支援プラットフォームを接続することで、教員の負担軽減と協働的な学びの充実を両立する取り組みとして注目されそうだ。

南極観測70周年記念「大南極展」、日本科学未来館で開幕

本物の南極の氷や隕石、ブリザード体験で地球の未来を考える

 日本科学未来館、国立極地研究所、ドリームスタジオ、テレビ朝日、朝日新聞社が主催する特別展「大南極展」が、7月1日から日本科学未来館で開幕する。南極観測70周年を記念した展覧会で、南極の観測活動や極限環境での研究の最前線を、映像、実物展示、体験型コンテンツを通じて紹介する。

 南極は、人間活動の影響が比較的少なく、地球環境の変化を直接的に捉えることができる貴重な観測フィールドである。氷床、大気、海洋、生物が相互に関わる南極での長期観測は、気候変動の解明や将来予測にも大きく貢献してきた。日本は約70年にわたり南極観測を継続しており、その蓄積されたデータは地球の過去を読み解き、未来を見通す手がかりとなっている。

 会場では、本物の南極の氷に触れられる体験エリアを設ける。何千年、何万年も前に降った雪が氷となったものを実際に手で触り、透明度や内部の気泡を観察できる。南極の自然を身近に感じながら、氷が地球環境の記録を閉じ込めていることを体感できる展示だ。

 南極氷床の深部から採取されたアイスコアも展示する。今回公開されるのは、深さ2499メートルから掘削された、34万年前の空気を含むアイスコアの実物。氷の中には、積雪当時の空気や気温、降水などの情報が閉じ込められており、気候変動を読み解く「タイムカプセル」とされる。実際に掘削に使用されたドリルもあわせて展示し、南極観測の科学的意義とスケールを伝える。

 体験型展示としては、南極のブリザードを安全に再現するエリアも設ける。強風や視界不良を体感することで、観測隊がどのような過酷な環境で研究を続けているのかを学ぶことができる。建物間をロープで移動するなど、極地ならではの安全確保の工夫も紹介する。

 南極で発見された隕石の展示も見どころの一つだ。南極は「隕石採集の聖地」とも呼ばれ、国際隕石学会に登録されている隕石の約6割が南極で採取されているという。日本の観測隊も1969年以降、約1万7400個の隕石を採取してきた。本展では30点以上の実物サンプルを公開し、手で触れたり持ったりできる鉄隕石や、月・火星から飛来したと考えられる希少な隕石も紹介する。

 このほか、ペンギンやアザラシの生態を学ぶ展示、南極の岩石や化石から大陸移動の歴史を読み解く地質調査の紹介、自律型無人探査機を使った海洋観測、大気観測、オーロラ観測、昭和基地での生活紹介など、多角的に南極研究を取り上げる。会場入口では「ミッションシート」を配布し、来場者が展示を巡りながら南極観測に関するミッションに挑戦できる参加型の構成とした。

 関連企画として、教員南極派遣プログラムに参加した教員による小学生向け特別授業や、研究者を招いたトークセッション、観測を支える企業によるワークショップも開催する。夏休みの自由研究にもつながる学びの機会となりそうだ。

 会期は9月27日まで。会場は日本科学未来館1階企画展示ゾーン。開館時間は午前10時から午後5時までで、入場は閉館30分前まで。入場料は大人2000円、18歳以下1300円、未就学児900円。日本科学未来館の常設展もあわせて観覧できる。

 南極を知ることは、地球環境の過去と現在を知り、未来を考えることにつながる。今回の「大南極展」は、観測隊の挑戦や科学研究の意義を楽しみながら学べる、夏休みの科学教育イベントとして注目されそうだ。

次期学習指導要領、AIを「使いこなす力」重視へ 情報活用能力を学びの基盤に 各教科で活用広がる見通し

 文部科学省は、次期学習指導要領に向けた議論の中で、生成AIを含むデジタル技術を適切に活用する力の育成を重視する方針を示している。AIが社会や仕事、学びのあり方を大きく変える中、子どもたちがAIを単に使うだけでなく、目的に応じて使いこなし、情報を吟味しながら自ら考える力を育てることが柱となる。

 中央教育審議会の各ワーキンググループでは、生成AIやデジタル学習基盤の活用を学習指導要領にどのように位置付けるかについて検討が進んでいる。これまで学校現場でのAI活用は、自治体や学校、教員の判断に委ねられる面が大きく、活用の有無や質に差が生じることが課題とされてきた。

 次期学習指導要領では、こうした格差を抑え、すべての児童生徒がデジタル技術を学びに生かせるよう、情報活用能力の育成をより明確に位置付ける方向だ。情報を集める、整理する、分析する、表現する力に加え、AIが生成した情報の妥当性や信頼性を確かめる力も重要になる。

 情報教育については、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域(仮称)」を加える案が示されている。探究学習の中で、情報の収集や整理、発信、情報モラルなどを体験的に学ぶことを想定する。中学校では、現行の技術・家庭科を再編し、「情報・技術科(仮称)」を創設する方向で議論が進む。小中高を通じて、情報活用能力を系統的に育てる狙いがある。

 外国語教育でも、AIの活用が重要な論点となっている。高精度な翻訳や音声認識、対話型AIが普及する時代に、なぜ外国語を学ぶのかという本質的な意義を問い直す必要があるためだ。次期学習指導要領では、AIを含むデジタル学習基盤の活用を明記し、生成AIを活用して自分の考えを英語で表現する活動なども検討されている。

 一方で、AIの利用には課題もある。生成された内容をそのまま信じてしまうことや、考える過程をAIに任せすぎること、個人情報や著作権、情報モラルへの配慮が不十分になることへの懸念がある。そのため、AIを使う力と同時に、AIの特性や限界を理解し、必要に応じて使わない判断をする力も求められる。

 今回の議論は、教育現場に対しても大きな変化を促す。教員には、AIを授業改善や個別最適な学びにどう活用するか、児童生徒にどのようなルールや判断軸を示すかが問われる。教材会社や学習塾、EdTech企業にとっても、AIを前提とした教材・サービス開発が一段と重要になる。

 AI時代の教育で問われるのは、正解を早く出す力だけではない。多様な情報を比較し、自分の考えを形成し、他者と対話しながら課題を解決する力である。次期学習指導要領におけるAI活用の位置付けは、学校教育を「知識を覚える学び」から「情報と技術を使い、自ら考え続ける学び」へ転換する契機となりそうだ。

外国人児童生徒への日本語指導、国がガイドライン整備へ 指導水準の底上げと学校現場の負担軽減を両立

 文部科学省の有識者会議は、外国人児童生徒等への教育充実に向けた報告書案を了承した。日本語指導が必要な児童生徒が増加する中、国として日本語指導に関するガイドラインを整備し、指導内容や方法を具体的に示す方向だ。自治体や学校ごとに差がある支援体制を標準化し、教育の質を高める狙いがある。

 近年、外国にルーツを持つ子どもや、日本語指導を必要とする児童生徒は増加している。文部科学省は、令和7年度の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」を公表し、在籍状況、指導の実施状況、個別の指導計画、教育委員会の体制整備などを把握している。子どもたちが学校生活に適応し、教科学習に参加できる環境づくりは、全国的な課題となっている。

 報告書案では、日本語指導の水準向上に向け、在籍学級での学びと「特別の教育課程」による日本語指導をどう連携させるかが重要だとした。日本語指導に初めて関わる教員でも取り組めるよう、指導内容や方法、支援の進め方を国が具体的に示す必要がある。

 特に、来日直後など日本語での学校生活に不安が大きい児童生徒への初期支援が課題となっている。現在は、初期日本語指導を行う「プレクラス」の仕組みや運用方法が自治体によって異なり、支援の質に差が出やすい。今後は、全国展開を見据え、国がモデルづくりや財源確保を含めて検討する。

 また、学校現場の負担軽減と教育の質の確保を両立するため、都道府県教育委員会がハブとなる体制整備も求められている。市町村や学校だけで対応するのではなく、広域自治体が研修、専門人材の派遣、関係機関との連携支援などを担うことで、地域間格差を抑える考えだ。

 個別の指導計画の活用も重要な論点となる。日本語指導が必要な児童生徒一人ひとりについて、学習状況や支援内容を関係者で共有し、継続的な支援につなげることが求められる。報告書案では、学校現場の過度な負担とならないよう、簡易な様式や電子ファイルでの一体的な運用も検討するとしている。

 さらに、生成AIやオンラインを含むデジタル技術の活用もガイドラインに盛り込む方針だ。翻訳支援、教材作成、個別学習支援などでICTを活用することで、教員の負担を軽減しながら、児童生徒の理解度や母語背景に応じた支援を行いやすくする。

 専門人材の活用も進める。登録日本語教員や日本語指導補助者、母語支援員などを学校現場でどう生かすかが課題となる。教員養成大学などで、日本語指導や外国人児童生徒教育を専門とする人材を継続的に育成する体制づくりも必要になる。

 外国人児童生徒への日本語指導は、単に日本語を教えるだけではない。子どもが持つ母語や文化的背景を強みとして捉え、学校生活への適応、教科学習への参加、進学・就職の機会確保につなげる包括的な支援が求められる。

 少子化が進む一方で、地域によっては外国にルーツを持つ子どもの存在感が高まっている。今回のガイドライン整備は、多文化共生時代の学校教育を支える基盤づくりとなる。自治体、学校、地域団体、民間教育機関が連携し、子ども一人ひとりの学びをどう保障していくかが今後の焦点となりそうだ。

トビタテ!留学JAPAN、第18期派遣留学生を決定

 日本学生支援機構は、「官民協働海外留学支援制度〜トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム〜」の大学生等対象について、2026年度第18期派遣留学生の選考結果を公表した。あわせて、派遣留学生を対象とした壮行会を7月18日に文部科学省で開催する。

 今回の大学生等対象の応募者数は1,481人で、前年度の1,204人から約2割増加した。応募者の在籍校数は275校となり、第2ステージ開始以降で最多となった。海外留学への関心が再び高まりつつある中、学生の挑戦を後押しする制度として存在感を強めている。

 「トビタテ!留学JAPAN」は、官民が連携して意欲ある若者の海外留学を支援する取り組み。新・日本代表プログラムでは、学生自身がテーマや目的を設定し、実践的な学びを海外で行うことを重視している。語学力の向上だけでなく、専門性の深化、社会課題への挑戦、将来のキャリア形成につながる留学を支援する。

 7月18日に開催される壮行会は、文部科学省3階講堂などを会場に行われる。第1部では式典を実施し、第2部では支援企業・団体、教育機関関係者らとの交流会を開く。第3部では派遣留学生を対象としたオリエンテーションを行い、留学に向けた意識を高める。

 参加者は、第18期派遣留学生のほか、支援企業・団体、教育機関関係者、メディア関係者、文部科学省および日本学生支援機構の関係者など。グローバル人材育成に関わるコミュニティ全体で、派遣留学生の出発を後押しする場となる。

 同機構によると、「トビタテ!留学JAPAN」第2ステージを支援する企業・団体は、6月1日時点で109社・団体に上り、支援額は44億7,000万円となった。企業・団体からの支援は引き続き募集している。

 コロナ禍を経て、学生の海外留学機会は回復基調にある。国際経験を持つ人材の育成は、大学教育だけでなく、産業界や地域社会にとっても重要な課題となっている。応募者数と在籍校数が増加した今回の結果は、若者の海外挑戦への意欲が広がっていることを示すものといえそうだ。

 今後は、派遣留学生が留学先で得た経験をどのように国内外で還元し、次世代の学びや社会課題の解決につなげていくかが焦点となる。官民協働による留学支援の成果が、グローバル人材育成の裾野拡大につながることが期待される。

第14回「プラチナ大賞」、地域課題解決モデルを募集 脱炭素、教育、健康長寿など先進的な取り組みを表彰

 一般社団法人プラチナ構想ネットワークは、第14回「プラチナ大賞」の募集を開始した。社会課題の解決、地域の活性化、持続可能な社会づくりにつながる全国の先進的な取り組みを対象に、自治体や企業などからの応募を受け付ける。

 プラチナ大賞は、イノベーションによる新産業の創出や、地域課題を解決する独自のアイデアを称える表彰制度。地域資源の活用、脱炭素、健康長寿、教育、産業振興、コミュニティ形成など、各地域で「プラチナ社会」の実現に資する取り組みを表彰してきた。

 募集期間は5月25日から7月17日午後5時必着。応募資格はプラチナ構想ネットワーク会員で、非会員の場合は事務局が入会手続きなどを案内する。自薦・他薦を問わず、全国各地からの応募を呼びかけている。

 表彰内容は、大賞3件で、「大賞」「総務大臣賞」「経済産業大臣賞」を各1件選定する。このほか、優秀賞7件程度、プラチナ・チャレンジング賞2件程度、会長特別賞・奨励賞を計10件程度設ける。

 審査は、9月9日に一次審査会として書類審査を行い、11月5日に最終審査発表会と表彰式を開催する。会場は時事通信ホール。登壇者や報道関係者以外は、オンラインで視聴できる予定だ。

 プラチナ構想ネットワークは、持続可能で豊かな社会「プラチナ社会」の実現を目指して活動する団体。2010年8月に設立され、2022年1月に法人格を取得した。元東京大学総長で三菱総合研究所理事長を務める小宮山宏氏が会長を務め、220以上の自治体、180以上の法人が会員となっている。

 人口減少、地域産業の担い手不足、脱炭素、健康長寿、教育環境の充実など、地域社会が直面する課題は多様化している。プラチナ大賞は、そうした課題に対し、地域の資源や人材、技術を生かして解決に挑む取り組みを可視化し、全国へ広げる役割を担う。

 地域発の実践事例を共有することは、自治体や企業、教育機関、地域団体の新たな連携にもつながる。今回の募集を通じて、各地で進む持続可能なまちづくりや社会課題解決のモデルが、どのように発信されるか注目されそうだ。

iU、学生ベンチャー数61社で全国9位 起業率は3年連続全国1位 「起業で学ぶ」教育成果を発表

 情報経営イノベーション専門職大学(iU)は、経済産業省が発表した大学発ベンチャーに関する調査で、学生ベンチャー数が61社となり、全国9位に入ったと発表した。あわせて、同調査資料をもとに同大学が独自に算出した「起業率」では、3年連続で全国1位となった。

 iUは、開学以来「在学中に全学生が起業にチャレンジする」ことを掲げてきた専門職大学。ICT、ビジネス、グローバルコミュニケーションを横断的に学びながら、学生が実際に事業立案や起業に挑戦する教育環境を整えている。

 同大学によると、2025年度の1年間に学生が立ち上げた会社は35社で、全学生数655人に対する起業率は5.34%となった。この数値をもとに、3年連続で全国1位を達成したとしている。大学側は、起業が一部の学生だけの特別な挑戦ではなく、日常的な学びの一部として根付いていることを示す結果だと位置付けている。

 経済産業省の調査では、iU発の学生ベンチャー数は61社とされ、全国9位にランクインした。1クラス40人という小規模教育の特長を生かし、学生一人ひとりの挑戦を支える体制が、起業実績の積み上げにつながっている。

 iUは、起業家の育成だけを目的とするのではなく、起業を通じて社会で活躍するための力を身につけることを重視している。自ら事業を立ち上げる過程では、課題発見力、論理的思考力、行動力、チームで協働するコミュニケーション力などが求められるためだ。

 学生は、4年間を通じて必修科目「イノベーションプロジェクト」などに取り組み、事業立案やプレゼンテーションに繰り返し挑戦する。失敗を経験しながら改善を重ねることで、社会を生き抜くアントレプレナーシップを養う。

 学内には、学生の起業を支援する「デベロップメントセンター」や、起業塾「iUアクセラレーションプログラム」も設けている。専任教員、客員教員、職員が一体となり、学生のアイデアの具体化や事業化を支援する。

 進路面でも、起業に限らず、就職や大学院進学など多様な選択肢を用意している。就職希望者に対する就職率は、2024年3月卒で97.5%、2025年3月卒で99.1%、2026年3月卒で98.1%となった。進学先には、東京大学大学院、北陸先端科学技術大学院大学、上智大学大学院、デジタルハリウッド大学大学院などがある。

 副学長の古賀稔邦氏は、起業率3年連続全国1位について、ICT、ビジネス、グローバルな視点を学びながら挑戦する教育成果の表れだとコメントした。今後も学生一人ひとりの挑戦を支援していくとしている。

 大学教育では、知識の習得に加え、課題を発見し、自ら行動して価値を生み出す力の育成が求められている。iUの取り組みは、起業を学習手段として位置付け、実践を通じてアントレプレナーシップを育む専門職大学のモデルとして注目されそうだ。

第一ゼミナール鶴見校、文理学科で合格率100% 個別最適化自立型指導「PLS」で10人全員合格

 総合教育サービスを展開する株式会社ウィザスは、同社が運営する第一ゼミナール鶴見校において、2026年春の高校入試で大阪府公立高校の最難関とされる文理学科を受験した生徒10人が全員合格したと発表した。合格率は100%となり、同校が4年間取り組んできた個別最適化自立型指導「第一ゼミPLS」の成果としている。

 第一ゼミPLSは、従来の集団指導や個別指導とは異なる学習スタイルとして展開されている。「Positive Learning System」の略で、生徒一人ひとりの学力状況や目標に応じて学習プランを設計し、自ら学ぶ力を育てることを重視する。

 同社によると、PLSの特徴は、画一的に授業を受けるのではなく、生徒自身が「自分に必要な学びは何か」を考え、目的から逆算して学習に取り組む点にある。すでに理解している内容を聞き続ける必要がなく、反対に分からないまま授業が進んでしまうことも避けられる。

 また、従来の個別指導で課題となりやすい「先生依存」や受け身の学習にも陥りにくいという。無学年制の学習空間の中で、周囲の仲間や先輩後輩が努力する姿に刺激を受けながら、自分の目標に向かって学習を進める仕組みを整えている。

 同社は、今回の合格実績について、過去問演習や受験テクニックの反復だけによるものではなく、生徒が学ぶ目的を明確にし、課題を乗り越える力を身につけた結果だとしている。難関校受験においても、「教わる教育」から「自ら学ぶ教育」への転換が成果につながったと位置付ける。

 PLSでは、生徒が課題を発見し、目標を設定し、計画を立て、実行し、振り返る学習サイクルを重視する。変化の激しい時代において、正解を覚える力だけでなく、前例のない問題に向き合い、自ら考えて学び続ける力を育てることを目指している。

 卒業生からは、自分の苦手や進度に合わせて予習・復習を進められたこと、周囲と比較して焦ることなく学習できたこと、理解度を自分で把握して質問する習慣がついたことなどが成果として挙げられている。高校入学後も、授業や探究活動で主体的に質問したり、リーダーシップを発揮したりする力につながっているという。

 別の生徒は、分かっている内容は飛ばし、苦手な教科や単元に時間を集中できたことを評価している。夏までに理科・社会に注力し、直前期は英語と数学に重点を置くなど、自分に合わせた戦略的な学びができたことが合格につながったと振り返った。

 教育現場では、受験指導においても知識の詰め込みだけでなく、学習者自身が目標を立て、計画的に学ぶ力の育成が求められている。第一ゼミナール鶴見校の事例は、個別最適な学習設計と自立型指導を組み合わせることで、難関校合格と非認知能力の育成を両立する取り組みとして注目されそうだ。

神奈川大学、文科省「AI for Science」で3件採択 採択率8.1% 光と物質の相互作用を起点にAI活用研究を推進

 神奈川大学は、文部科学省が実施する令和8年度「AI for Scienceによる科学研究革新プログラム AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」第1回公募において、同大学から3件の研究プロジェクトが採択されたと発表した。

 同公募は、AIの活用により科学研究の高度化・加速化を図り、AI for Scienceの波及と振興を促進することを目的とした事業。第1回公募では、応募総数1万5868件に対し採択は456件で、採択率は2.9%だった。

 神奈川大学は、研究推進部を中心に事務職員とURAによる応募支援体制を整え、37件の研究提案を行った。そのうち3件が採択され、採択率は8.1%となった。全体平均を大きく上回る結果で、同大学は、応募件数30件以上の首都圏の国公私立大学の中でも高い水準だったとしている。

 今回採択された3課題はいずれも、「光と物質の相互作用」を起点とするAI for Science研究である。5フェムト秒光で誘起される量子コヒーレント反応の解明、量子相関光と分子の相互作用の原理探索、光学力と発熱を制御する誘電体ナノ構造の設計など、異なる分野でAIを活用しながら、複雑な自然現象の理解と制御に挑む。

 採択課題の一つは、化学生命学部の岩倉いずみ教授による「量子コヒーレント反応座標の解明:5fs光実験とAI解析で拓く量子非平衡化学」。量子コヒーレント反応とAIを組み合わせ、未知の反応座標を数式化する「逆問題の探索」に取り組む。

 2件目は、化学生命学部の橋本征奈特別助教による「少数高信頼データとAIによる量子相関光―分子相互作用の支配原理探索」。少数データから支配原理を導く「Human-in-the-loop」の考え方を取り入れ、量子相関光と分子の相互作用の解明を目指す。

 3件目は、理学部の東海林竜也教授による「AIサロゲートを用いた強光学力と低発熱を両立する誘電体ナノ構造の逆設計」。物理現象を模倣するAIを活用し、ナノ構造の超高速逆設計に挑戦する。

 同大学は、今回の採択について、研究者個々の独創的な構想に加え、AI for Scienceに関する研究提案を組織的に後押ししてきた成果だと位置付ける。公募情報の共有、応募内容の相談、研究計画調書の確認などを通じて、研究者の挑戦を支援してきた。

 神奈川大学は、2028年に創立100周年を迎える。今回の採択を契機に、研究提案力の強化、外部資金獲得支援、分野横断的な研究連携をさらに進める方針だ。AI for Scienceの実践を通じて、科学研究の発展と社会課題の解決に貢献し、大学全体の研究力向上を図る。

 佐藤裕美副学長は、採択率3%弱という狭き門の中で3人の研究者が採択されたことを評価し、日頃の研究の積み重ねが実った結果だとコメントした。今後も、より多くの研究者の研究が進むよう支援を続けるとしている。

 AIを活用した科学研究は、複雑な現象の解析や新材料設計、実験データの高度活用など、幅広い分野で重要性を増している。神奈川大学の採択は、AI for Scienceを大学の研究力強化に結び付ける取り組みとして注目されそうだ。