全国知事会、高校無償化を契機とした教育改革を要望 高校・大学一体で人材育成強化へ

 全国知事会は12月11日、文部科学省において、松本大臣に対し「いわゆる高校無償化を契機とした高校・大学等の改革による人材育成の強化について」と題する提言を手交した。少子化や地域産業の担い手不足が深刻化する中、高校から大学・高専までを一体で捉えた教育改革を進め、地方創生や産業活性化を支える人材育成を強化する狙いがある。

 要望書を手渡した全国知事会文教・スポーツ常任委員会委員長の大村愛知県知事は、いわゆる高校無償化を大きな転換点と位置付け、「制度導入をきっかけに、教育の質を高める改革を同時に進めることが不可欠だ」と強調。産業界との密接な連携のもと、高校から大学等まで一貫した人材育成の仕組みを構築する必要性を訴えた。

 具体的な要望項目としては、公立高校に対する施設整備やICT活用などハード・ソフト両面での支援拡充、いわゆる高校無償化制度についての早期かつ明確な制度設計と、保護者や学校現場に向けた分かりやすい情報提供を求めた。また、物価や人件費の上昇を踏まえ、大学等の教育研究基盤を支える経費への支援拡充も盛り込まれている。

 さらに、成長分野を担う人材育成に向け、大学学部の理系転換の推進や、地域人材育成に取り組む大学への重点支援、公立高等専門学校の新設に関する支援の充実も要望。加えて、各地域における人材育成の方向性を産学官で議論する「地域構想推進プラットフォーム」の仕組みを全国的に推進することを求めた。

 これに対し松本大臣は、全国知事会による文部科学行政への継続的な協力に謝意を示した上で、「今後、国が示す高校教育改革のグランドデザインを踏まえ、各都道府県において実効性ある計画を策定してほしい」と要請。教育の質向上と地域課題の解決につながる改革を、国と地方が連携して進めていく考えを示した。

 文部科学省は今後、公立高校や専門高校への支援拡充などを通じ、高校から大学までを通貫した人材育成の具体化をスピード感を持って進めるとしている。教育制度改革と地域人材育成をどう両立させるかが、今後の重要な論点となりそうだ。

素粒子研究の最前線を体験 KEKで「Belle Integral 2026」開催へ

 茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)で、素粒子物理学の最先端に触れるスクール「Belle Integral 2026」が、2月16日から19日までの4日間、開催される。主催はBelle Ⅱ実験日本グループで、2027年度または2028年度に大学院進学を志望する学生を主な対象とする。

 同スクールは、世界最高の衝突性能を誇るSuperKEKB加速器と、Belle Ⅱ測定器を用いた最先端の素粒子研究の一端を実体験できる機会として企画された。研究現場で行われている解析や実験の考え方に触れることで、将来の進路選択の参考にしてもらうことを目的としている。
 会場はKEKつくばキャンパス。期間中は、Belle Ⅱ実験に携わる研究者による講義や実習を通じて、加速器を用いた国際共同研究の実像を学ぶプログラムが予定されている。
 参加応募の締め切りは1月13日正午。
詳しくはBelle Integralのサイトより
https://belle.kek.jp/b2j/belle-integral/

海外インターンと奨学金を一括支援 ガクシーとタイガーモブが提携、費用障壁の解消へ

 奨学金プラットフォームを運営する株式会社ガクシーと、海外インターンシップ事業を展開するタイガーモブ株式会社は、若者の海外挑戦を促すための業務提携を締結した。この提携により、渡航先の選定から資金繰りまでを一体的にサポートする新スキームが構築され、学生が直面する経済的・情報的なハードルの解消を目指す。

■資金調達と渡航先選定を一体化
 若者の間で海外挑戦への意欲が高まる一方、円安や物価高騰に伴う「費用負担の増大」と、数ある制度から自分に適したものを見つけ出す「情報の複雑さ」が、大きな阻害要因となっている。ガクシーはこれまで、国内最大級のデータベースを武器に、留学希望者へ奨学金情報の提供を行ってきた。今回の提携では、これにタイガーモブが保有する世界33カ国、100件以上に及ぶ実践型インターンシップのネットワークが加わる。
 これにより、利用者は「ガクシー留学」のプラットフォームを通じて、自身のキャリア像に合致したインターンシップ先の選定と、その渡航に必要な費用を補填できる奨学金制度の照合を同時に進めることが可能になる。プログラム費や航空券代といった初期費用の算出と、それに見合う返済不要な給付型奨学金などのマッチングをワンストップで行うことで、資金不足を理由に断念していた層の掘り起こしを狙う。

■成長を担保する教育的支援
 単なる渡航支援にとどまらず、学習効果の最大化を図る体制も整える。タイガーモブが培ってきた「Learning by Doing(実践による学び)」のノウハウを活用し、出発前には具体的な行動設計を行う事前研修を実施。渡航中も専門のメンターによる指導を継続し、帰国後には経験をキャリア形成に結びつけるための振り返り研修までをパッケージ化して提供する。

■経済的格差による機会損失の是正
 ガクシーは、経済的理由で夢を諦めることのない社会の実現を掲げており、奨学金を単なる資金援助ではなく、挑戦を後押しする仕組みとして位置づけている。一方、タイガーモブは世界各地での越境体験を通じて、若者の価値観を更新する機会を創出してきた。
 両社は今後、この支援スキームを通じて、学生が抱く「どのインターン先が適切か」「費用をどう工面するか」という二つの不安を同時に解決し、海外での実践経験をより身近な選択肢として定着させる方針だ。情報の集約と経済的支援を組み合わせることで、意欲ある若者が家庭の経済状況に左右されず、世界を舞台に挑戦できる環境の整備が加速すると期待される。

東京都、子どもの万引き防止へ連絡協議会開催低年齢化に歯止め、オンラインで第28回会合

 東京都は、子どもの万引き防止対策を協議する「第28回 子供に万引きをさせない連絡協議会」を、12月15日にオンライン形式で開催する。都内では、万引きで検挙・補導された少年の数が令和5年に増加へ転じ、令和6年も前年から192人増の1,253人となり、依然として深刻な状況が続いている。

 特に小学生による万引きは435人と高水準で推移しており、低年齢層からの予防的な取り組みが急務となっている。万引きは「非行の入口」とも指摘され、将来的な犯罪やトラブルに巻き込まれるリスクを高めることから、早期介入と啓発の重要性が強調されている。

 同協議会は、子どもの非行防止と健全育成を目的に、都が平成18年度から設置している。今回は、東京都や警視庁による現状報告のほか、文教大学人間科学部の須藤明教授が「万引き防止の理解と対応」をテーマに講演を行う予定だ。

 協議では、子どもの万引き防止を目的とした啓発リーフレットやデジタル教材、子どもたちが制作した防止作品を活用した啓発物の展開について意見交換を行う。また、健全育成を目的とした音楽劇の活用についても議論する。

 東京都は今後も、関係機関と連携しながら、子どもが万引きに及ぶ前段階での気づきや支援を重視し、非行防止に向けた取り組みを進めていくとしている。

障害者の生涯学習支援に功績 文科大臣表彰式で51個人・団体を顕彰

 文部科学省は12月9日、令和7年度「障害者の生涯学習支援活動」に係る文部科学大臣表彰式を開催し、長年にわたり障害のある人の学びを支えてきた個人・団体51件を表彰した。本表彰は、障害者の生涯学習の普及・発展に寄与してきた優れた取り組みを顕彰し、その意義を社会に広く発信することを目的としている。

 当日は、被表彰者を代表し、小松市手をつなぐ育成会「こぶし青年教室」(石川県)の中野晴美会長に、松本大臣から表彰状が手渡された。中野会長は代表挨拶で、時代や社会環境の変化に応じて活動の形を柔軟に変えながら継続してきた同教室の歩みを紹介。「新しいことを学び、挑戦する中で見せる参加者一人ひとりの目の輝きや笑顔が、人生をより豊かにしていると信じている」と述べ、今後も当事者と共に歩みながら活動を発展させていく決意を示した。

 松本大臣は挨拶の中で、被表彰者の長年にわたる尽力に深い敬意と感謝を表明。その上で、学校基本調査における大学進学率算出に際し、特別支援学校の生徒のデータが含まれていなかった点について言及し、関係者へのお詫びとともに、再発防止に向けた速やかな見直しを進める考えを示した。

 また松本大臣は、「障害の有無にかかわらず、共に学び、生きる共生社会の実現が重要だ」と強調。福祉分野をはじめとする多様な主体と連携しながら、学校卒業後も継続して学べる場づくりを進めていることを説明し、「今後も皆さまの協力を得ながら、障害者の生涯学習を一層推進していきたい」と述べた。

 障害者の生涯学習は、自己実現や社会参加の促進にとどまらず、地域共生社会の基盤づくりにもつながる。今回の表彰は、教育・福祉の現場で積み重ねられてきた実践の価値を改めて示すとともに、今後の支援体制強化に向けた重要な節目となった。

忘年会、職場は“1次会まで”が多数 幹事は「ポイント重視」傾向─ぐるなび調査、ネット予約と“ポイ活”が鍵に─

 飲食情報サービス大手のぐるなびリサーチ部は、年末の恒例行事である忘年会についての調査を実施し、職場とプライベートで参加意向や楽しみ方に違いがあることが分かった。調査は11月17〜18日に全国の20〜60代のぐるなび会員1300人を対象にウェブで行われた。
 調査によると、職場の忘年会では「1次会まで参加したい」という回答が最多で約6割に達し、従来の長時間宴席から“スマートな忘年会”への変化がうかがえる。一方、プライベートの忘年会では2次会や3次会まで楽しむとの意向が目立ち、参加者のメリハリある過ごし方が浮かんだ。

 忘年会の幹事を頼まれた場合の意向を見ると、約4割が「ポイントが貯まるなら引き受けてもよい」と回答。特に40代男性では約35%が前向きで、参加者の多くはネット予約による利便性やポイント獲得を重視していることが分かった。しばしば忘年会の幹事役が負担とされる中で、“ポイ活”が新たなモチベーションになっている可能性がある。
 また、ネット予約の利用意向は96%と極めて高く、忘年会とオンライン予約が密接に結びついている実態も明らかになった。予約サイト経由でポイントを貯められることが、幹事の負担軽減や参加促進につながっているという分析もある。

「大掃除」意識調査 12月中実施は約3割 水回りが重点エリアに

 マーケティングリサーチ会社のクロス・マーケティングは12月3日、「大掃除に関する調査(2025年)」の結果を公表した。年末の恒例行事として大掃除の意識が高まる時期を迎え、全国の20~69歳の男女1100人を対象に実施されたアンケートで、「大掃除をする」と回答した人が71・3%に達し、「12月中に実施する」と答えた人は34・0%だった。12月を中心に掃除を予定する人が多いことが明らかになった。

 調査期間は11月28~29日で、全国47都道府県の20~69歳男女が対象。大掃除をしないと回答した人は28・7%だった。実施時期については12月上旬と下旬を合わせた「12月中派」がボリュームゾーンとなっている。
 掃除の担当は「自分自身」と回答した人が87・2%と圧倒的に多く、続いて「配偶者・パートナー」が36・4%だった。掃除の内容では、「浴室」「トイレ」「窓・サッシ・網戸」「キッチンの換気扇・レンジフード」「コンロ・IH周りの油汚れ落とし」など、水回りや普段手の届きにくい場所が上位に並んだ。
 大掃除に対する気持ちについては、「家がきれいになると気分がすっきりする」とポジティブな意見が多い一方、「時間や手間がかかる」「完璧にやろうとすると疲れる」といった負担感を示す回答も目立った。特にキッチン周りや頑固な汚れに対して嫌悪感を抱く傾向が顕著だった。
 20~30代では大掃除を「しない」と回答する割合が比較的高く、若年層のライフスタイルの変化や掃除への価値観の多様化が背景にあるとみられる。調査結果は、年末の消費行動や家庭内の役割分担を考えるうえでも参考となりそうだ。

Dプリンターで「触れる教材」を拡充 京都府立盲学校へ寄贈

 視覚障がい教育において、指先で形を確かめる「触察(しょくさつ)」の重要性が高まっている。京都市下京区のコンタクトレンズメーカー「サンコンタクトレンズ」は11月17日、京都市北区の京都府立盲学校に対し、教育支援としてデスクトップ型3Dプリンター1台を寄贈した。

複雑な形状を立体化
 視覚に障がいのある児童生徒にとって、対象物の大きさや構造を把握する触察は、学習の根幹を成す。しかし、DNAの二重螺旋構造や花の細かな造り、昆虫の身体の仕組みなどは、従来の点図や口頭説明だけでは正確なイメージの共有が困難であった。
今回寄贈された3Dプリンター「FLASHFORGE Adventurer 5M Pro」は、デジタルデータを基に精密な立体物を短時間で造形できる性能を持つ。これにより、市販品では入手困難な教材や、授業内容に合わせた独自の模型を校内で迅速に作製することが可能となる。

伝統校のICT活用を推進
 寄贈先となった京都府立盲学校は、1878年創立の日本最古の盲学校として知られる。現在は幼稚部から専攻科までを擁し、あん摩マッサージ指圧師等の国家資格取得支援のほか、ICT機器を活用した教育にも注力している。
今回の寄贈は、一人ひとりの角膜形状に合わせた製品づくりを行う同社のCSR(企業の社会的責任)活動の一環として実施された。今後は、理科の実験模型や地理の立体地図など、授業の目的に応じたオリジナル教材の試作が本格化する。

教材データの共有も視野
 同校では今後、3Dプリンターを活用した探究的な学習活動を進めるほか、作製した教材のデジタルデータを他の視覚特別支援学校や地域の学校と共有する共同研究も視野に入れている。デジタル技術を介した「触れる学び」の提供により、教育のユニバーサルデザイン化がさらに加速することが期待される。

共通テスト26年度からWeb出願 受験票印刷と身分証持参が必須に

 大学入試センターは12月5日、「受験上の注意」を公表し、受験生に事前確認を呼びかけた。2026年度(令和8年度)の大学入学共通テストは、Web出願の導入に伴い、試験当日の準備や持ち物に変更が生じる。
 本試験は2026年1月17、18日、追試験は1月24、25日に実施される。「受験上の注意」はPDF形式で、今回から紙での配布は行わず、各自がダウンロードして確認する方式となった。
 受験票は共通テスト出願サイトのマイページから取得し、A4サイズの白色用紙に印刷して持参する必要がある。スマートフォンなどの画面提示では入場できない。受験票への書き込みは禁止され、不正行為と見なされる可能性がある。

 また、顔写真付き身分証明書の持参が新たに必須となった。生徒証や学生証、マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、在留カードなどが対象で、本人確認が必要な場合に提示を求められる。
 試験開始に遅れた場合でも、開始後20分以内であれば受験は認められる。ただし、英語のリスニングは開始時刻までに入室していなければ受験できない。
 試験中の規律も厳格だ。スマートフォンなどの電子機器は電源を切り、アラーム設定を解除する必要がある。音が鳴った場合は不正行為と見なされ、機器は試験終了まで試験室外で保管される。耳栓の使用や、英文字や地図などが印刷された服の着用も禁止されている。
 大学入試センターは、試験当日の持ち物や注意事項を事前に十分確認し、万全の態勢で臨むよう受験生に求めている。

「移動する教室」で地域探究 河合塾が通信制新設、NTT東日本と連携

 学校法人河合塾学園が2027年4月、岩手県一関市に広域通信制「ドルトンX(エックス)学園高等学校」を開設する。NTT東日本との提携により、ICTと実社会での経験を融合させた「地域拠点×通信制」のハイブリッド教育を導入。生徒が特定の校舎に留まらず、日本各地を移動しながら学ぶ新しい教育形態の構築を目指す。

■2年次は各地へ滞在 ミネルバ大学の手法を導入
 同校は、特定のキャンパスを持たずに世界各地を転々としながら学ぶ米ミネルバ大学の教育モデルを参考にする。特徴的なのは高校2年次のカリキュラムだ。生徒は3カ月ごとに、最大4カ所の地域拠点へと滞在場所を移す。1日のスケジュールは、午前中にオンラインでの教科学習を行い、午後はその地域のフィールドワークや課題解決型の探究学習に充てる。

■東京の研修施設を拠点に活用
 NTT東日本は、同校の戦略的パートナーとしてインフラと学習環境の両面を支援する。高校1年次と3年次には、東京都調布市の「NTT中央研修センタ」を宿泊・学習拠点として提供する。  同施設内にある実証フィールド「NTTe-City Labo」では、生徒が最先端のデジタル技術に直接触れる機会を設け、データ活用やITスキルの習得を促す。

■背景に地方の課題解決と人材育成
 今回の連携の背景には、人口減少が続く地域社会における教育格差の解消と、次世代リーダーの育成という狙いがある。NTT東日本はこれまでにも、ドルトン東京学園(東京都調布市)や河合塾グループとの間で、探究学習プログラムの共同開発などを進めてきた。今回の新設校との連携はそれらの取り組みを包括したもので、一関市をはじめとする東日本各地のネットワークを「学びの場」として活用していく。

■デジタルとリアルの融合図る
 NTT東日本は25年9月、ミネルバ大学とも連携協定を締結しており、河合塾グループ、ミネルバ大学、そして多様なパートナーと協力しながら、場所の制約を受けない革新的な教育モデルの確立を進める。