ベトナム教育最大手が日本進出 現場重視のデジタル活用を提案

 学研グループのベトナム教育大手「DTP Education Group」は、日本国内での事業展開を目的とした「DTP Education Japan合同会社」を設立した。1月27日、東京都品川区の学研ホールディングス本社で設立記念式典が開催され、日越の両国関係者や教育機関の代表らが新たな教育連携の門出を祝った。

■現場に即した「再設計」が強み
 2003年にホーチミン市で創業した同グループは、東南アジアや欧州を中心に英語教育事業を展開している。最大の特徴は、既存の教育理論を画一的に導入するのではなく、進出先の国や地域の学習環境、教師の現状に合わせて教材や教育ソリューションを最適化する手法にある。
教材開発においては、徹底した現場理解に基づき、導入後の運用から教員研修、継続的なフォローアップまでを一貫して行う伴走型の支援体制を構築している。

■紙とデジタルの融合を図るエコシステム
 同グループが提供するシステムの柱は、紙の教材とデジタルツールを高度に連携させた「教育エコシステム」だ。紙の教科書を学習の基盤としつつ、音声や動画といったデジタルコンテンツを補完的に活用する。
専用プラットフォーム「Eduhome.io」でこれらを一元管理することにより、教師は教材の提示や学習進捗の把握、成績評価といった教務を効率化できる。生徒側も個々のペースで学習可能だが、あくまでデジタルは既存の授業スタイルを補完・強化する役割に留められている。

■日本の教員の負担軽減を目指す
 日本法人の代表には、日本での英語指導経験を持つポール・ライリー氏が就任した。同法人は、日本における事業の指針として「実用性」「技術の活用」「伴走型の支援」の3原則を掲げている。
 具体的には、日本の教員が直面している時間的制約や多忙な業務実態を考慮し、運営負担を増大させずに指導の質を向上させる教材開発に注力する方針だ。今回の日本進出を皮切りに、ベトナム発の教育コンテンツを世界市場へ発信する「Go International」の展開を目指している。

地方創生の持続的事業化へ 学研ロジスティクスなど6社が新モデル構築で提携

 学研ホールディングスのグループ会社である学研ロジスティクス(東京・品川)は2026年2月2日、ホリプロや福井新聞社を含む計6社と、地方創生および日本文化の再発掘を目的とした多社間業務提携を締結した。各社のメディア力や企画制作力、物流網、デジタル技術を統合し、福井県を起点とした「持続可能な地域活性化モデル」の構築に着手する。
 今回の提携には、主幹事の学研ロジスティクスのほか、ホリプロ、ふくいヒトモノデザイン、ふくいのデジタル、福井新聞社、ジープラスメディアが参画。従来の地方創生で見られた補助金依存や単発イベントによる「一過性の消費」を脱却し、地域資源を継続的な経済価値を生む「事業」へと転換させることを目的としている。

■コンテンツ制作から海外展開まで一元化
 事業の核となるのは、独自に構想された「CDSモデル」だ。これは地域の人・文化・産業をコンテンツとして再編集する「創る(Create)」、多様なメディアで発信する「届ける(Deliver)」、得られたノウハウを他地域へ横展開する「回す(Scale)」の3段階で構成される。
 具体的な情報発信の場として、学研グループが運営する教育・教養向けの映像配信サービス「学研TV」を中核に据える。ここに新聞、アプリ、海外向けメディアを連動させ、国内外の視聴者を実際の来訪や消費行動へと誘導する。さらに、これら一連の工程を一体的に運用することで、行政や自治体の調整負荷を軽減し、実行力の高いビジネスモデルとしての確立を目指す。

■物流と教育の知見を活用
 学研ロジスティクスは、3PL事業で培った在庫管理や流通加工のノウハウを、地域の有形無形の資源管理に応用する。親会社である学研ホールディングスは、150か国以上で展開する教育・医療福祉事業の基盤を持っており、今回の提携でもその広範なネットワークが活用される見通しだ。
 今後は、福井県で構築した「コンテンツ制作・発信・実装」の成功事例を資産化し、全国の他地域へ展開可能な地方創生パッケージとしての成長を図る。

商業教育の再生へ、地域企業と連携 「社会人のリアル」が生徒の刺激に大阪・淀商業高で出張授業 社員研修とキャリア教育を融合

 大阪府立淀商業高等学校(大阪市)で1月19日、民間企業の社員が講師を務める出張授業が実施された。この授業は、教育コンサルティングを展開する株式会社NEXCENT(兵庫県神戸市)が提供する、企業研修と学校教育を融合させたプログラム「NEXT SENSEI」の一環として行われた。当日はRP東プラ株式会社(大阪府)の社員7名が教壇に立ち、同校の3年生約30名に対して、自身のキャリアや人生の転機について語った。
「NEXT SENSEI」は、企業の人材育成と社会貢献を同時に実現する新しい形の研修モデル。参加する企業社員は、まず事前研修で自らの職歴や人生経験を棚卸しし、それを中高生に伝えるための言語化作業を行う。その後、実際に学校現場で「先生」として授業を行い、生徒や教員からのフィードバックを得るというプロセスをたどる。
 今回の取り組みの背景には、商業高校と地域企業が抱える双方の課題がある。近年の少子化に伴い、商業高校では学びの内容や卒業後の進路が中学生に伝わりにくいことによる選択率の低下が深刻化している。一方で、大阪・関西エリアの地域産業を支える中小企業にとっては、次世代を担う若手人材の採用と育成が喫緊の経営課題となっている。
 こうした状況に対し、同プログラムは「社会人の学び」を教育現場に直接投入することで、商業教育をより実践的なものへと進化させる狙いがある。大企業だけでなく中小企業も教育に参画できる実証事例として、地域の人材ニーズを教育現場につなぐ新たなモデルケースを提示した。
 実際の授業では、社員が自身の挫折経験や、弱点をどのように強みに変えてきたかといった「等身大の姿」を披露した。これに接した生徒からは、自らの弱点と向き合う姿勢や、新しいことに挑戦する意欲が高まったとする声が聞かれた。また、自身の悩みを重ね合わせ、将来の生き方の一つの指標として受け止める生徒の姿も見られた。
 講師を務めた社員にとっても、相手に伝えるための表現力や論理的構成力の不足を実感する一方で、自身の仕事に対する価値観を再発見する自己理解の機会となった。NEXCENTは、この学校教育と企業研修が互いに学び合う関係性を重視しており、今後も業種や規模を問わず多様な企業と連携し、この取り組みを全国の学校現場へ広げていく考えだ。

■実施概要
日時:2026年1月19日(月)
場所:大阪府立淀商業高等学校
対象:3年生 約30名
登壇者:RP東プラ株式会社(各社員7名)
主催:株式会社NEXCENT

■株式会社NEXCENTについて
「全ての人を主人公にする」をビジョンに、2022年4月に設立した教育コンサルティング企業。
企業、自治体、教育現場での「意識改革」をベースにしたキャリア開発支援を行い、研修・セミナーを提供。教育現場でのAI活用サービス『SmartTeach』で学校現場でのAI活用研修や、社会課題解決型の研修プログラム『NEXT SENSEI』を提供している。

教育開発出版、『新中学問題集』創刊50周年を記念し特設サイトを公開

 教育開発出版株式会社(東京都杉並区、糸井幸男代表)は、主幹教材『新中学問題集』の創刊50周年を迎え、これを記念した特設サイト(https://www.kyo-kai.co.jp/special/50th/)を2026年1月に公開した。1976年の創刊以来、学習塾・学校現場で支持されてきた同教材の歩みと、これからの教材開発の方向性を発信している。

『新中学問題集』は、授業で使いやすく指導に直結する教材として、学習指導要領の改訂や入試制度の変化に応じて不断の改訂を重ねてきた。基礎から応用まで段階的に学べる構成が長年の支持につながり、学習塾をはじめ教育現場の定番教材として定着している。

特設サイトで振り返る50年

 特設サイトでは、創刊から現在までの改訂の歴史を時系列で紹介する「これまでの歩み」をはじめ、教材に込めた制作思想や関連教材群の紹介、50周年ロゴに込めた狙いなど多角的なコンテンツを掲載。単なる周年紹介にとどまらず、「なぜ選ばれ続けてきたのか」を伝える構成としている。

 また、シリーズの歴史は1976年の創刊以降、標準編・発展編の2レベル展開、演習編・関連教材の拡充、デジタル教材・オンライン英会話連携など、時代に即した進化を遂げてきたことが特設ページ内で振り返られている。

糸井社長が語る「50年の重み」

 特設サイトに併せて掲載された代表取締役 糸井幸男氏のコメントでは、『新中学問題集』が学習指導現場の声を反映しつつ品質を磨き上げてきた「教育開発のルーツ」であり、同社の“魂”とも言える存在であることが述べられている。教材の歴史を学習塾・教育業界の変遷と重ね合わせ、先生方への感謝と今後への決意が語られている。

 糸井社長はメッセージの中で、「これまでの改訂の積み重ねが、本教材を指導者と学習者をつなぐ教材として育ててきた」と振り返るとともに、今後も現場で役立つ教材開発を続ける意欲を表明している。

 次の50年へ教育現場はICT活用や学習スタイルの多様化が進み、教材への期待も変化している。教育開発出版は、『新中学問題集』の伝統を基盤としつつ、新たな学習ニーズに応えるコンテンツ開発とサービス展開を図っていく方針だ。半世紀にわたり蓄積された編集方針・構成思想は、次の世代へ受け継がれていく。

デジタル・ナレッジ、ウズベキスタンIT Parkと戦略提携

クリエイティブ人材育成とITアウトソーシングで日・中央アジア連携強化

 eラーニング専門ソリューションを手がけるデジタル・ナレッジ(東京都台東区、はが弘明社長)は2月2日、ウズベキスタン共和国デジタル技術省傘下のIT振興機関「IT Park」と、IT・クリエイティブ産業育成に向けた戦略的パートナーシップ覚書(MOU)を締結したと発表した。ウズベキスタンで大学運営を行うJapan Digital University(JDU)との3者連携により、ITアウトソーシング開発、人材育成、技術協力を推進する。

 本件は、2025年12月に開催された「中央アジア+日本」ビジネスフォーラムにおけるMOU締結案件の一つ。日本と中央アジア諸国の経済・技術連携を強化する枠組みの中で位置づけられている。

 IT Parkは、ウズベキスタン政府主導で設立されたテクノロジー拠点で、スタートアップ支援やICT人材育成、オフショア開発の推進を担う。首都タシュケントの本部を中心に国内14拠点を展開し、海外にも積極的に進出している。2025年5月には、米国、ドイツ、韓国、サウジアラビアに続く5番目の海外拠点として、デジタル・ナレッジ東京本社内に「IT Park Tokyo Office」を開設しており、今回の提携はその流れを受けたものとなる。

 提携の背景には、ウズベキスタンが国家戦略としてIT産業振興を進め、若年層を中心に豊富な人材基盤を有する一方、日本ではITエンジニアやゲーム・アニメなどのデジタルクリエイティブ人材不足が深刻化している現状がある。3者は従来のシステム開発にとどまらず、クリエイティブ産業やゲーム分野に特化した人材育成と開発体制の構築を目指す。

 具体的には、日本のゲーム開発やデジタルコンテンツ制作のノウハウを活用した教育プログラムを共同で展開し、現地の若手クリエイターを育成する。あわせて、育成した人材や現地IT企業を活用した日本企業向けのオフショア開発受託を進めるほか、技術交流を通じてウズベキスタン国内での新たなデジタル産業創出を図る。

 将来的には、ウズベキスタンを「中央アジアにおけるクリエイティブ産業のハブ」として育成するとともに、日本企業にとって信頼性の高い開発パートナー拠点を構築する構想だ。

 連携の中核を担うJapan Digital University(JDU)は、2020年にタシュケントで開学した私立大学で、日本の大学と連携したオンライン教育を特徴とする。学生は現地で学びながら日本の提携大学の授業を受講し、卒業時には日・ウズベキスタン双方の学位取得が可能となっている。高度な日本語力とITスキルを備えた人材を日本企業に送り出してきた実績があり、今回の産学官連携の基盤となる。

 中央アジアと日本を結ぶIT・教育分野での連携は、人的交流と産業創出を同時に進めるモデルとして、今後の展開が注目される。

オトバンク、音声×認知特性の能力開発プログラムを提供開始

思考スピード向上に効果、満足度96%・業務有効性97%

 オーディオブック配信事業を手がけるオトバンク(東京都文京区、久保田裕也社長)は2月2日、個人の認知特性に合わせて思考力や判断力の向上を図る「音声型能力開発プログラム」の提供を開始したと発表した。音声学習に認知特性の知見を組み合わせた点が特徴で、効果検証では受講者の満足度が96.1%、業務への有効性実感が97.0%に達した。

 本プログラムは、社員の自律学習を支援する「audiobook.jp 法人版」の展開で培った音声活用ノウハウを基盤に開発された。近年、企業ではリスキリングや主体的学習の重要性が高まる一方、画一的な研修が定着しないという課題も指摘されている。オトバンクは、人が情報を処理する際の得意な様式である「認知特性」に着目し、個人ごとに最適化した音声学習によって実務で使える思考力を高める手法を提示する。

 中核となる概念は「内言語(脳内の声)」だ。文章理解や判断の過程では、文字情報が脳内で音声化され処理されるとされ、本プログラムではこの内言語の質と速度を高めることで、読解力や要約力、意思決定のスピード向上を狙う。音声によるインプットに加え、AIとの対話を通じて情報を構造化・検証する実践的な学習手法も取り入れた。

 2025年12月12日には、顧問名鑑の受講者206人を対象にオンラインで効果検証を実施した。その結果、プログラム全体の満足度は96.1%、今後の業務への有効性は97.0%、継続参加意欲は90.8%と高水準を記録。受講者からは「自分の特性に合った学習法で効率が上がった」「音声なら隙間時間を活用でき、実務に落とし込みやすい」といった声が寄せられた。

 オトバンク代表取締役会長で音声型能力開発プロデューサーの上田渉氏は、「AI時代には文字情報の処理速度と意思決定の質を高めることが重要になる。黙読を脳内での音読と捉え直し、音声学習で内言語を鍛えることで思考そのものを高速化できる」とコメント。今後は「audiobook.jp 法人版」と連携し、企業の生産性向上を支える人材開発施策として展開していく考えだ。

 音声と認知特性を掛け合わせた能力開発は、従来型研修に代わる新たな選択肢として、企業の人材育成分野で注目を集めそうだ。

高校生がAIで描く「未来の東京」 小池都知事と直接議論、動画を公開 観光、防災、行政、高齢者支援など12人が提案

 東京都は、次世代を担う若者と知事が都政課題について意見交換を行うイベント「知事と議論する会」の動画を公開した。4回目となる今年度は「AIなどのデジタルで叶えたい『未来の東京』」をテーマに、都内4校12人の高校生が小池百合子知事に向けて政策アイデアを提案した。

 同イベントは、知事が若者から直接意見を聞き、都政運営に反映させることを目的に毎年開催されている。今回の収録は2025年12月25日に都庁で行われ、AIを活用した観光支援、防災対策、行政手続きの簡素化、高齢者見守りサービスなど、多岐にわたる提案が発表された。

 具体的には、都立新宿山吹高校のチームが、スマートグラスを用いて市町村や島しょ地域の観光を支援する構想を提示。渋谷教育学園渋谷高校は、外国人駐在員向けに行政・医療・教育手続きを一体化するアプリ構想を提案した。東京電機大学高校は、浸水検知器と降雨データを組み合わせ、AIが内水氾濫の発生確率を算出する防災モデルを紹介。東京学芸大学附属国際中等教育学校は、高齢者の孤立を防ぐAI介護ロボットの活用を提案した。

 プレゼンテーション後には、小池知事が各チームに質問し、高校生が自らの考えを説明。会場では、ファシリテーターを務めたハリー杉山さんらを交えたクロストークも行われ、世代を超えた議論が展開された。

 東京都によると、昨年度公開された同イベントの動画は40万回以上再生され、学生や保護者世代を中心に高い関心を集めたという。今回公開された動画は、東京都公式動画チャンネル「東京動画」で2027年3月31日まで配信される。視聴後のアンケート回答者の中から抽選で20人に東京ポイント500ポイントを進呈する企画も用意されている。

 参加した高校生からは、「同世代の多様なアイデアに触れ、考えが深まった」「調査や準備を通じて知見が広がった」といった声が寄せられた。

 本取り組みは、若者が社会を変える主体となることを掲げる「2050東京戦略」の一環。東京都は今後も、中高生を含む若い世代の意見を都政に反映させる機会を継続していくとしている。

熊本大学とデータスタジアム、スポーツデータ活用と人材育成で連携協定 データサイエンス人材の育成と社会実装を推進

 データスタジアム株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石澤健史)は1月28日、国立大学法人熊本大学(熊本市、学長:小川久雄)と、スポーツデータを活用した人材育成および教育・研究成果の社会実装を目的とする連携協定を締結した。

 本協定では、スポーツ分野におけるデータ活用を軸に、教育プログラムの検討・設計を進めるとともに、データアナリストやデータサイエンティストの育成を共同で推進する。データスタジアムが長年培ってきたスポーツデータおよび分析ノウハウを活用し、データサイエンス領域における実践的な教育機会の創出を目指す。

 協定の主な取り組みは、①スポーツデータを活用した教育プログラムの設計を通じた人材育成、②地域社会や産業界と連携した教育・研究成果の社会実装、③スポーツ分野をはじめとする多様な領域での新たな価値創造の促進、の三点。日本において課題とされるデータ分析人材の不足解消にも寄与する考えだ。

 今後は、熊本大学との連携を深化させるとともに、地元スポーツクラブや企業など多様なステークホルダーとの協働を視野に、人材育成を通じた地域経済の発展にも貢献していくとしている。

 データスタジアムは今回の協定を通じ、教育・研究分野への事業展開を強化し、次世代のデータ人材育成とスポーツ界の持続的な発展に取り組む方針だ。

高校無償化で「私立は無理」が変化 約半数が私立を検討へ 湘南ゼミナール調査、情報提供で進学意識に変化

 高校授業料無償化の拡充を背景に、私立高校への進学意識が変化しつつある。スプリックスグループの湘南ゼミナール(東京都渋谷区)が実施した調査によると、当初は国公立高校を志望していた保護者の約半数が、制度内容を理解した後に「私立高校も選択肢に入れたい」と回答した。

 調査は、小・中学生の子どもを持つ保護者516人を対象に、2025年12月にインターネットで実施された。2026年度から進む高校授業料無償化の拡充や所得制限撤廃について、保護者の認知度や進学意識への影響を探った。

 その結果、高校授業料無償化について「詳細は知らない」と答えた保護者は74.4%に上り、制度の浸透不足が浮き彫りとなった。進学先として最も行かせたい学校種別は「国公立高校」が66.9%で最多となり、私立高校を避ける理由としては「国公立に比べて学費がかかるから」(75.9%)が最も多かった。

 一方、無償化制度の具体的な内容を説明した後には意識の変化が見られた。当初、国公立高校を志望していた家庭の45.5%が「私立高校も選択肢に入れたい」と回答。私立を検討する理由としては、「授業料負担が軽減されるから」(83.4%)に加え、「学習・教育内容が適しているから」(58.0%)、「進学実績を重視したいから」(37.6%)などが挙げられた。

 ただし、私立進学への不安も根強い。制度説明後も私立を志望しない理由としては、「授業料以外の費用(入学金・施設費など)がかかるから」が68.6%で最多となり、無償化の対象外となる諸費用が依然として大きな壁となっている。

 自由回答では、「子どもが複数いるため、無償化で家計負担が大きく変わるのはありがたい」といった期待の声がある一方、「無償化を理由に設備費が上がるのでは」「倍率が高くなり、競争が激しくなるのでは」といった懸念も寄せられた。

 湘南ゼミナールは今回の結果について、「正しい情報提供によって進路選択の幅が広がる一方、私立志望者増加による入試競争の激化も想定される」と分析。今後は、小学生段階から高校受験を見据えた先取り学習と、制度に関する情報提供を強化し、学力面と情報面の両面から保護者と子どもを支援していくとしている。

サクラサクセス、栃木の育伸を完全子会社化

 株式会社サクラサクセス(島根県松江市、岩田佳晃代表)は1月30日、栃木県宇都宮市を拠点に「進光ゼミナール」を展開する株式会社育伸を完全子会社化し、サクラサクセスグループの一員として迎え入れたことを発表した。今回の子会社化により、サクラサクセスグループは既存の株式会社Jアカデミア(愛知県豊明市)、edoglobe株式会社(東京都渋谷区)と合わせ、4社体制で70店舗を超えるネットワークへと拡大する。 
 育伸が運営する「進光ゼミナール」は、栃木県内で20年以上の歴史を持つ地域密着型の学習塾として、個別指導を軸に確固たる進学実績と保護者・生徒からの厚い信頼を築いてきた。今回の完全子会社化を通じて、サクラサクセスが蓄積してきた教室運営・マーケティングノウハウやDX推進力と、育伸の地域での強固なブランド力および教育コンテンツを融合させることで、付加価値の高い教育サービス提供を目指す。
 なお、進光ゼミナールのブランド名称・運営体制は維持され、北関東エリアでの教育サービスの質を高めるとともに、両社のシナジーによるさらなる成長が期待されている。